カニは、刺身や焼きガニ、鍋物などいろいろ楽しめます
「優に千種を超える」と言われている日本近海のカニですが、市場に出回っている種類はかなり少ないです。
同じカニであっても、その「とれる地域によって名前が違うだけ」のものがとてもたくさんあって、実際のカニの種類は、言われているほど多くはないのです。
例えばずわいがにの場合、山陰地方や関西では「松葉がに」、関東や福井県では「越前がに」というように同じカニでも呼び方が違います。
「ずわいがに」に近い種類のカニで、またの名を「べにがに」などともいうものがいますが、通常は「べにずわいがに」という名前です。
この味の劣るカニである「べにずわいがに」が、よく店頭で安い値段で売られている「ずわいがに」だったりします。
「ずわいがに」の収穫量の減少に伴って近年多くなっているのが、この「べにずわいがに」の収穫なのです。
ちょっと話は変わりますが、リーズナブルでおいしいカニと言えば毛がにですが、身が多く、みそも美味しくて、殻が柔らかくて食べやすいので人気があります。
「毛がにを食べる」となると夢中になってしまうもので、食べ始めたら無口になると言われるカニの中でも特に絶品です。
長万部駅の立ち売り業者が、戦争で扱う商品がなくなってしまったので、しかたなくそれまで顧みられることのなかった「毛がに」を茹でて売って、北海道の毛がにが特産品としてヒットして有名になったという経緯があるのです。
ハサミと足を合わせて4対しかない「たらばがに」は、分類学上は「ヤドカリ」の仲間でカニではないのですが、タラの漁場と同じ付近の海域でとれるのでこの名前になりました。
「たらばがに」は体に身は少なくて主に足を食べますが、足を広げるとその長さが1mを超えるものもあるので、大きなものは、刺身や焼きガニ、さらに鍋物というように楽しみ方もいろいろです。
「たらばがに」と同様、「花咲がに」も実は「カニ」ではなく「ヤドカリ」の仲間であって、固い殻で食べるのが大変ですが、たらばがにに負けないくらい濃厚な味で、しかも夏にとれますから、カニは冬だけだと思っていた人にとっては、嬉しいことです。