先日、ブラジルでボエパス航空2283便、ATR-72-500が墜落しましたが、墜落時の動画を見て一言。

あの墜落の仕方は、「フラット・スピン」(Flat Spin)ですね。その名のごとくフラット(水平)に落ちるスピンです。通常のスピンは、両主翼が失速して高度が落ちていく訳ですが、右の主翼と左の主翼で失速の度合いが違うので、胴体の前後軸に対して回転しながら機首を下げて落ちていきます。この通常のスピンでは両方の主翼が失速しているので、各主翼の両端に付いているエルロン(補助翼)は操縦桿を左右に操作しても反応しませんが、機首が下がっているので胴体後部の尾翼(水平尾翼と垂直尾翼)には気流がスムースに流れているので水平尾翼のエレベーター(昇降舵)と垂直尾翼のラダー(方向舵)は反応します。ですので、通常のスピンから脱出するには、方向舵(足)で機体の回転を止め、昇降舵で機首を上げて水平状態に戻し、元の高度まで上昇します。

ところが、フラット・スピンに陥った場合は、主翼は勿論のこと尾翼(昇降舵と方向舵)までも失速しているので、パイロットがいくら操縦桿を前後左右に動かしても両足で方向舵を踏んでも飛行機は全く反応しません。つまりは、動画で見たように、上下軸を中心に回転しながら木の葉がヒラヒラと舞うように落ちていくことになります。つまり、パイロットは成す術がありません。パラシュートがあれば、機体を放棄して脱出した方が得策です。トップガンの映画でマーベリックの戦闘機が墜落したのもフラットスピンに入ったからですね。。。

とは言え、一応ですがフラットスピンからの回復操作もありますので、次回のブログでアップします。