昔高校生の頃、兄の友達に可愛がられていた。


部活動を卒業した三年には学校から帰るとちょくちょく部屋を訪ねて、レコードやギターをいじって遊んだものだ。

ある日、八王子にいた兄のところに車で行くことになり、一人じゃつまんないからいっしょに来ないか?と誘われた。

当時の東京行きは、今と違い時間距離も長く、夜行列車や、4号線など、さながら異国に旅するかの感覚、もちろんオーケーした。

夜11時に出発してラジオをつけた。
深夜放送はよく聞いてたが、車から流れる音は、何かいつもと違うような。。。深夜に車で東京に向かう。。そんな環境が、普通のラジオ放送をまるでイスタンブールに招かれるような気持ちにさせた。


連休前半、久しぶりに夜10時にこっちを出発し東京に向かった。
同乗者は全員夢の中だったが、俺はひとりすれ違うヘッドライトをながめ、通りすぎるライトを横目に、スピーカーから流れるラジオを聞いていた。

兄の友達は数年間に亡くなったが、夢や希望に満ち溢れていたあの頃の思い出は今でもしっかり俺の中で生きている。


夜に車に乗るとラジオをつけたくなる。