いわばしる垂水(たるみ)の上のさわらびの

萌え出づる春になりにけるかも

    志貴皇子 万葉集1418

 

岩の上を激しく流れる滝の上のわらびが芽を出す

春になったなぁ

 

第八巻の冒頭に、春の雑歌として置かれた歌。

人口に膾炙した歌で、私も大好きです。

 

岩波文庫の『万葉集』(二)では、「いわばしる」

ではなく、「いわそそく」と訓読みしています。

原文「岩激」ということで、「激」の字は「そそく」

と訓読みすることが多いからだそうです。

「いわばしる」は、賀茂真淵によるものだとか。

同じ解説によれば、わらびは晩春であるにもかかわ

らず、万葉集の春の雑歌の冒頭に置かれたので、

晩春に出る「わらび」の歌が早春のものとされ

ていることが多いとも指摘されています。

 

「萌える」というのは、芽が出るということですが、

現代の俗語では心ときめくというような意味でも使われる

ことがあります。

 

「萌黄(もえぎ)色」というのは、新緑の色かと思いますが、

ネットで検索すると、似てはいるものの、異なる色が出て

きて明確にはわかりません。どれが正しいのかしら。

 

春の滝の画像を用いたいところですが、残念ながら、滝に

は行けず、守谷市の公園にて撮影した新緑で。これは、

コナラの木の萌黄色。

 

ちなみに志貴皇子(しきのみこ)は、天智天皇の息子、

光仁天皇の父、桓武天皇の祖父であります。

 

 

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