ここのところ、雨が多く、雨ではない日も夜空に雲が
かかっていて星は見られませんでした。
しかし、昨晩は久しぶりに、さそり座のアンタレスを
見ることができました。
さそり座と聞くと、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の
「さそりの火」を思い出します。
「みんなの幸のために私のからだをおつかい下さい」と言った
蠍(さそり)が真っ赤な美しい火になって夜の闇を照らす
ようになったというお話です。
雲一つ無い空に高く輝くのではなく、また、大勢の星たちと
美しいシンフォニーを奏でるでもなく、アンタレスは雲の合間に
わずかに姿を見せて、南の低い空までしか上がらないのです。
しかし、赤く大きく静かに輝いています。
宮沢賢治が、どうしてアンタレスにこういうお話をつけた
のか、なんとなくわかるような気もします。