日本語大賞で最優秀の文部科学大臣賞を受賞した茨城県の古河市立古河第二小学校1年佐藤亘紀君(7)の「おとうさんにもらったやさしいうそ」の全文は以下の通り。
ぼくのこころにひびいたことばは、
「おとうさんはちょっととおいところでしごとをすることになったから、おかあさんとげんきにすごしてね。」です。
そのときぼくは二さいでした。
とても小さかったのでちょくせついわれたのはおぼえていませんが、いってくれたときのどうががおかあさんのスマホにいまでものこっているので、すきなときにきくことができます。
このふつうにおもえることばがぼくのこころにひびいたりゆうは、じつはこれがおとうさんがついたうそだったからです。
このことばの一しゅうかんごに、おとうさんははっけつびょうでしんでしまいました。
そして、このことばをおとうさんがのこしたのはびょうきがわかってにゅういんした日でした。
おとうさんは、あえないあいだにぼくがかなしまないように、わざとうそをつきました。
うそはふつうよくないけど、これは、おとうさんがぼくのためについてくれたやさしいうそだとおもいます。
このことばをどうができくと、おとうさんにあってみたくてすこしかなしいきもちになります。
でもかなしいだけじゃなくて、かなしませないようにうそをついてくれたおとうさんのやさしさをおもって「がんばろう!」とおもえます。
おとうさんがしんでしまったことはしっているけど、おとうさんのうそがほんとうになって、いつかよるおそくにドアのまえで「ドアをあけて。かえってきたよ。」といっているおとうさんにあいたいです。
こうおもえるのも、おとうさんのやさしいうそのおかげです。
ぼくからおとうさんにつたえたいことがあります。
「おとうさん、うそがばれてるよ! だってまわりにびょういんのどうぐがいっぱいあるし、おとうさんがよこになっているし、めからなみだがちょっとだけでているし、こえがさびしそうだから。」
でもぼくは、だまされているふりをしつづけようとおもいます。
おとうさんがやさしいうそをついてくれたおかげで、ぼくのこころはつよくなれています。
これからもおとうさんのことばをまもっておかあさんとげんきにすごしたいです。
おとうさん、やさしいうそをありがとう。