宿に戻る途中に立ち寄る。金谷ホテル歴史館。
約400年前に徳川幕府によって建てられた侍屋敷で、東照宮守護の命を受けたお侍さんが江戸から赴任して暮らした住居。だから、襲撃に備えて隠し部屋や階段が沢山あったり、刀を振り下ろせないように天井が低かったりする。明治期に増築された以外は、ほぼそのままの形で残っているそうだ(お侍さんがどこの何家だったのかは分かっていないらしいが、当然位は高かった)。
お侍さんの時代は去り、その後空き家となっていたが、金谷家が譲り受けて外国人向けの民宿を始める(金谷家も元々東照宮の雅楽師を職掌していた)。敢えて和風建築のままオモテナシをした事で好評となり、繁盛したと。で、その口コミを広めたのが、このイギリス人旅行作家イザベル・バード女史。当時の日本奥地の旅行なんて、今の基準なら大冒険だろう。
歴史館の内部は撮影禁止だが、外に向かって撮るのはokとのこと。案内してくださった女性が「これからは落ち葉地獄ですよ(掃除が大変)」と言ったので、「美しいものの裏には苦労があるんですね」としたり顔で返事をした。色々教えてもらったが、400年前の襖絵の「この蝶が蜜を吸って飛び出そうとしている部分が一番好きなんです」と語られていたのが印象的だ。少し涙が出そうになった。何だろね。
歩道を歩いていた西洋人女性が「ビューティフォー」と呟いて見惚れていたので、400年前のですよ、とついさっき知った事を説明したら微笑みを返された。しかし良く考えれば、西洋は数世紀前の建物を平気で現役で使ってるんだった笑
冬の前、言わば死の直前の時期が、最も紅く美しくなるのはどういう摂理なのか、とか一瞬考える。
投宿した鬼怒川温泉ホテルも、創業は金谷家らしい。戦中は海軍に、戦後はGHQに接収されたりと、ホテル史だけ見ても波瀾万丈で興味深い。
翌朝。帰路につく前の朝ビール。濃厚ピルスナー旨し。
観光バスもスペーシアXだ。
今日もポッポ〜!
14形客車、ディーゼルエンジンが唸っていたが、これはサービス用電源(冷暖房など)らしい。補機のDEが今日は連結されていなかったが、どういう事だろう。
イイですなあ。
帰りは特急リバティ。
スペーシアX埋蔵金弁当。さ、三千円‥。
旅の終わり、北千住駅。レール運搬車に遭遇した。電化区間にディーゼルの臭いが漂う。アルコール漬けの俺も無意味にこの世を漂う。













