あなたが毎日世話をしている親に

家にいるのに『家に帰りたい』と言われたら、ショックですよね。

『ここがお母さんの家だから帰らなくていいんだよ』と何回説明しても

同じ会話の繰り返し。

『もううんざり』と思っておられる方も多いと思います。

 

そのとき親は

安心を求めています。

 

 

親が言っている『家』の意味は、

建物=ハウスではなくて、安心できる場所・存在=ホームのことです。

幼い頃に守ってくれた両親とその家、自分がイキイキと子育てしていたときの家など。

自分はここにいていいんだ、ここで安心していいんだ、ここが自分の居場所だ、

という場所・存在。

 

あなたが親に優しくしていない、と言うのではありません。

思いもよらない毎日の事件にドキッとしたり

繰り返しの介護に疲れるのは当然です。

ただ、認知症の親はとても敏感にその雰囲気を感じとってしまうだけなのです。

 

認知症になると、自分の気持ちを適切に表現することができにくくなりますが、

だからといって、その人の感情や思いがなくなるのではありません。

よりその感情や感性は豊かになり、ほかの人の感情による影響を

私たち以上に受けやすくなります。

     (引用:よくわかるパーソン・センタード・ケア 鈴木みずえ監修より)

 

そして

言葉には出さないけれども、記憶が不確かになり、

自分のことについての記憶も薄れていく不安や恐怖を強く感じているのが、

認知症の人なのです。

     (引用:同上)

今日から

親がそういう状態であるということを頭に置いて接してみてください。

きっとあなたの中の何かが変わって、それが親の行動の変化となって現れてくることでしょう。