リハビリも始まって(?)いろいろなことが出来るようになっていく、と思っていた。

 

 

 

いざリハビリが始まっても、出来ないこと多さを確認するだけのような

 

 

 

自分が何も出来なくなったのを思い知るだけのようで

 

 

 

辛いとか苦しいとか痛いとか

 

 

 

なるべく感じないようにするだけで精一杯だった。

 

 

 

幸いリハビリの先生たちはそんな患者に慣れていたし、感じたことがないくらいの痛みがあること以外はまぁなんとかなった。

 

 

 

問題はそれよりも日常に関わってくることだった

 

 

 

この時にきつかったのは排痰だった。

 

 

 

事故からGW明けまでずっと寝たきりだったので肺炎になってしまい、肺に痰が溜まるようになった。

 

 

 

 

でも腹筋の効かない体なので自分で痰を出せない、ずっとゴボゴボと半分溺れているような呼吸になってしまう。

 

 

 

 

これを看護師さんが腹を押してなんとか痰を出そうとするのだけれど、困ったことに看護師さんたちの間で技術格差がすごい。。。

 

 

 

 

上手い人ならタイミングを合わせてどんどん痰を出せるんだけど、下手な人だとタイミングが合わなかったり力だけが強くて苦しいだけだったりで拷問なんじゃないかって時間を過ごすことになる。

 

 

 

 

だいたい早くて30分、長いと1時間以上でどっちにしてもティッシュ一箱ほど消費する。終わる頃には看護師さんも自分もハァハァ息がきれる重労働だった。

 

 

 

 

そんな排痰、とうとうある日恐れていた事態が起きてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

看護師さんの上手い下手はまだ我慢できる、技術の差はまぁしょうがないし難しいんだろうな、とは思っていたから。

 

 

 

 

でもその日はそういう次元じゃなかった

 

 

 

 

いつものように痰が絡み始めてナースコールを押したらやってきたのはなんというか、、、

 

 

 

 

XXXXLくらいの看護師さん、見た目ほぼ丸、坂道から転がせばすごい勢いで転がりそうなくらい丸い。

 

 

 

 

ビジュアルは浅間山荘事件で使われていた鉄球に手足が生えて頭が乗っかっているところをイメージしてもらえれば完璧

 

 

 

 

 

↑ほぼこれ

 

 

 

 

「私あんまり力ないから上手く出来ないかも(アニメ声)」

 

 

 

 

鉄球の上の方から甲高い声が聞こえる、気のせいであってほしい。

 

 


 

 

そして鉄球看護師さんは私のみぞおちあたりに両手を置き、少し背伸びをすると体重をかけてきた

 

 

 

 

 

その動作は浅間山荘へ突撃する鉄球の動作と重なって見えた次の瞬間

 

 

 

 

ミシミシッ

 

 

 

 

見た目以上の重量感と共に山荘の壁よろしく、アバラが軋むのをはっきりと感じた

 

 

 

 

 

当然のように痰は全くでない、と言うかそれどころじゃない

 

 

 

 

 

痰が出ていないことを確認した看護師さんは体重をかけるべく、また少し背伸びをした

 

 

 

 

死ぬ

 

 

 

 

死に直面した際の走馬灯なのか、それとも本当にゆっくりだったからかはわからないが、鉄球が高さを増していくのがとてつもなく長く感じた

 

 

 

 

痰が絡みゴボゴボと溺れながらやっとの事で私は言葉を絞り出した、生きるために

 

 

 

 

「他の、、、看護師さん呼んで、、、」

 

 

 

 

 

すると鉄球は甲高い声で笑いながら部屋の外にでて行った

 

 

 

 

 

今日学んだこと

 

 

 

 

「大は小をかねない」