【作品情報】


マリヴォーの「愛と偶然との戯れ」をミュージカル化。小柳奈穂子の大劇場デビュー作。



【あらすじ】


伯爵令嬢シルヴィア(夢咲ねね)の花婿候補となったドラント(柚希礼音)は、彼女が召使いにどう接するか見てやろうと従僕ブルギニョン(紅ゆずる)と入れ替わる。一方、シルヴィアも求婚者たちの本性を見極めようと侍女リゼット(白華れみ)と入れ替わっていた。



【感想】


姫と花婿候補が相手を観察しようと各々の召使いと入れ替わる劇中劇を真似て、すれ違ってしまうドラントとシルヴィア。2人を結ばせるため、脚本家エルモクラートが芝居を書く演劇が現実を変え、現実が演劇を作る。「NAKED CITY」で彩吹真央の趣味であるカメラを作品に取り入れた小柳奈穂子は、原作のテーマを宝塚でどう表現すべきかよくわかっていて、キャストたちの現実を劇中にアドリブで大胆に取り入れさせています。特に千秋楽ネタはメタ的で、劇中劇があるこの公演によく合っていると思います。スターぞろいなキャストたちの魅力が反映された愛おしい登場人物たちがそれぞれ自分に合った恋人と手を取り合うラスト、恋ではなく仕事を選ぶ人がいるのもすてきでした。