ボクらの世代は小学生の頃にタイガーショットかドライブシュートのどちからをうてた。
昭和に産まれ、思春期の頃に平成を迎え、大人になったと思い込んでいる時に2000年。
ネクロスの要塞に驚き、ミニ四駆の虜となり、ビックリマンで腹を満たし、かぼちゃワインに翻弄され、エスパー魔美のタカハタに嫉妬し、本意気でスカイラブハリケーンの練習をし、FMよりAMを好み、北斗の拳で漢を学び、本城裕二に憧れ、大丈夫だぁ太鼓に興奮し、気がつけばミネラルウォーターを首からぶら下げていたファッショナブルな世代。
依怙贔屓を承知の上で、かなり良くいえば“自由”だが、誰がどう見ても“自分勝手”なことをしてきた…
プッチモニやったら誰がええよ?
イオリちゃんが質問してきた。
スタジオ練習を終えて、いつものように呑んでいた。
最終的には泥酔したところで一件落着するのだが、この日はまだ“サラ砂”の酔いだった。
そして、また例の質問だ。
プッチモニやったら誰がええよ?
目の前にいるナオンのことでもめることはあっても、テレビでしか見ないナオンのことでもめるほどハート貧乏ではない。
なぜなら、妄想は自分勝手で寛大だから。
質問が、“稲森ピーチと、紀香レッドと、松雪レッドやったら誰がええよ?”なら迷わず“松雪レッド”と答える。
けれど、質問はプッチモニ。
だからこその朝まで生討論会に発展する。
最終的に、イオリちゃんは本命の後藤さんに着地してご満悦、ボクはショートカットが好きという理由だけで市井さんとなり、ケンボウは輪郭が似ているという人類愛のよう理由から圭さん、という結果で、宴もたけなわ、そして泥酔コースへ…
翌日、昼過ぎに目覚めたボクらはカプリチョーザへと出向きランチをした。
パスタ3つにピッツァ1枚とサラダ1つ。
カプリチョーザで食事をしたことがある人ならわかるだろうが、アホみたいな量とアホみたいな3人。
前半は余裕ぶっこぎだったが、後半は涙目になりながら完食し、レジへ。
ボクはケツポケから2つ折りの財布を取り出し、開いた。
そこには、昨夜の討論会で資料提供されていた週刊少年マガジンのグラビアページが、笑顔で手を振っている“市井紗耶香”の切り抜き写真が、アロンアルファで貼り付けられていた。
財布を開くボクの後方から、ボクに聞こえるギリギリの小さな声で、
『ナカムラさん、あの子、ええ歳してアイドルの写真を財布に貼ってますよ〜。』
『オオクマさん、あの子、恥ずかしくないんですかねぇ〜、ええ歳こいてアイドルの写真とか。』
と、ボクの財布にサプライズを施した犯人が2名、ボクを見て、ほくそ笑んでいた。
こういったサプライズをボクは“ちょこっとLOVE”ということにした。
あとで、グーでカンチョーしたんねん。
と思いつつ、拳を硬く握り締め、ボクらは歩き出した。
イオリちゃんも、ケンボウも、ボクからの“もっとエゲツないサプライズ”に気づいていないままで。
【ワンスインナブルームーン】
word/song NOSHI
愛すれば愛するほど強くなった
傷つけば傷つくほどやさしくなった
もがけばもがくほど強くなった
悲しめば悲しむほどやさしくなった
苦しさは力になり
やさしさは光になる
強いものほどもろく
弱いものほど大きい
切なさがとても美しいから
また歩き出した