ナポレオン謀反の謀略をいち早く察知した司法官ブィルフォールは、ルイ18世の前に警視総監を差し置いて直接報告した。警視総監の失脚は確実、彼に強い恨みを抱いたが、ブィルフォールは、自分の手柄は偶然でしかなく、誰を持ってしても察知するのは不可能だったと付け加えた。警視総監は彼に感謝し、かつ王の感謝をも掴みとることができた。
すべての場合、人間か他の陥せいに落ち入る一歩前というものは、たいがい得意に満ちている

吉川英治 平の将門