『人間と動物の病気を一緒にみる』
医療を変える汎動物学の発想
バーバラ・N・ホロウィッツ、キャサリン・バウワーズ 土屋晶子訳
発行所 インターシフト
『人間と動物の病気を一緒にみる』
あなたの傍らにペットがいるだろうか。あなたに注目し、
寄り添ってくれる唯一無二の存在。ペットがあなたと同じ
病にかかった場合の主治医は獣医師、あなたの場合は医師
になるだろう。ただし、治療法はほぼ同じであるが。
著者の一人ホロウィッツ医師。ヒトの医学のことだけを
考えていた医師が、動物種の境界を越えた、より広い
領域の探求に導かれ、汎動物学(ズーピキティ)を提唱
して成果を上げてきた経緯を、共著者のバウアーズと
ともに著した。
医学・進化学・人類学・動物学の融合は、ヒトゲノムの
98.6%がチンパンジーと共通という2005年のネイチャー
誌への掲載で、確実に動き出した感がある。
ヒトのDNAをイヌのももの筋肉に送るとメラノーマの
腫瘍が縮む効能があり、ワクチン「オンセプト」の開発に
つながったように、種の枠を超えた学問分野の協力の
可能性が明白になってきた。
このほか、セックス、依存症、心筋症、肥満、自傷行為、
過食と拒食、性感染、いじめなど、ヒトと動物の共通性が
際立っている。
本書は12章に分かれているが、全400頁なので、各章40頁
程度。関心のある所だけでも目を通すとよいだろう。
第5章の「中毒や依存症から抜け出す」では、ギャンブルや
強迫的ショッピングが動物のえさあさりと狩り行動が同じ
神経回路内にあることや、ハイテク機器依存症の発信活動の
根底には、動物が生き残りをかけて競うための最も重要な
ファクターが組み合わさっているように、社会的ネットワーク
の構築、パートナーの獲得、捕食者の脅威に関する情報入手の
要素がつまっていると述べている。
また、ペットが強く望んでいるごほうびは、外部からの報酬
であり、一種の行動依存症を引き起こそうとしているところは、
ヒトの依存症の神経生物学的メカニズムに関連しあっている
など、一見、ヒトと動物で別々に考えられてきたことが、実は
同じものであったという。
この依存症を軽減するためには、別の依存症、たとえば、
人生を生きるに足りうる大変な仕事のほうに関心を移し、
ナチュラルハイを体験することだというが、あらゆる動物の
行動づけ、支えている、古代からつづく報酬なのである、
とまとめている。
第6章の「死ぬほどこわい」では、たこつぼ心筋症と動物の
捕獲と拘束のダメージとの類似性が指摘され、さらに、
赤ん坊にしてはいけないこととして、おくるみによる拘束で、
うつぶせ寝と突然大きな音を立てるとSIDS(乳児突然死症候群)
で死を招く警戒性徐脈(動物と同じ)を引き起こすなどの
危険性が指摘されている。
ほかにも、デブの惑星、なぜ自分を傷つけるのか、過食と
拒食、性感染症の知られざる力。「第11章おとなになる
のは大変」では、ヒトと動物の「いじめ」の共通性など、
汎動物学のフィルターを通すと見えてくるものが多い。
もし、あなたの足もとにペットがいたなら、思わず抱きしめて
頬ずりしたくなるような感情に満たされることは確実である。
以上を踏まえて、私なりに四行読書日記でまとめました。
『人間と動物の病気を一緒にみる』
医療を変える汎動物学の発想
バーバラ・N・ホロウィッツ、キャサリン・バウワーズ 土屋晶子訳
発行所 インターシフト
.(事実)一番印象に残ったものは何ですか?
動物とヒトは同じ感染・病気・けがに対して同じ弱さを持っていること。
. (発見)直感的に思ったことは何ですか?
霊長類と動物の境界線が広くなった。
. (教訓)学んだことをひと言でいうと何ですか?
種の壁を超える。
. (宣言)その学びを活かしてどうありたいですか?
私は、愛犬の健康について、自分と同じ視座で対応しています。
ではでは。











