過去を振り返ってみると、人間以外の生物で地球規模で他の種に対して大きな影響を及ぼしたものはない。ほとんどが地域限定であった。ただし、アンモナイトや三葉虫はかつて世界中のどこの海にもいた。これほどの広範囲に広がった種は珍しい。当然彼らの生み出す排泄物の量や、彼らが食する特定のエサの減少、そして専門にこれらの生物に住み着く病原菌などによって、最後には絶滅してしまったようだ。

人間が初めてアフリカ大陸に出現したころ、その数はわずかなものだったらしい。ただ、火を使い武器を作り、猛獣を倒すあたりから次第に環境に対するインパクトが高まってきた。ただし現在でも残っている森林に住む原始民族の暮らし方を見ると、掟を作りタブーを設けて自然界とは一応の折り合いをつけている。つまり無制限な搾取や開発を行うことはない。人口も昔と変わらず暮らし方は「存続可能」なスタイルを取っている。

ホモ・サピエンスがほかの猿人を抑えてトップに躍り出たのはおそらくその「攻撃性」であろう。攻撃力は積極性、自主性、新奇を求める傾向、好奇心を産みだした。これらはすべて現代社会では高い評価を受けているものである。だが、この根本となる攻撃性は結局は同種に向かうことになり、原始民族でも現代人でも判で押したように好戦的で、戦争は生活の一部であった。