人類が地球上に現れてから数百万年にもならないという。地球の長い歴史を1年にたとえると大晦日の11時59分以降のことにあたるという。それほどまでにわずかな期間に出現した生物が地球全体の存在を脅かすようになったのはいったいどう説明したらいいのだろうか?

現代は、この地球の生命にとって3度目か4度目かの大絶滅期にあたる。かつて大隕石が落下したり、火山の大爆発があったり、その他原因不明の出来事で、地球上の生物は危うく全滅しかけた。だが普段から多様な生物を産みだしておいたおかげで変化した環境になんとか適応できる種が生き延びて再び地表を生命で満たすことができた。

20世紀から21世紀にかけてのこの大絶滅期は、これまではまったく様相が違う。それは人間という種による自然界への侵入と占拠によってほかの生き物の生息地が奪われてしまったこと、産業活動による多種多様な汚染物質が生物の住むあらゆる場所、つまり空中、水中、そして地中にまでばらまかれてしまったことだ。今回に関しては生物がいかなる多様な種類を備えていても、とても対処できる事態ではないのだ。