日に日に 義父の「早く結婚しろ」発言が増え、
半ば強引に結婚の準備が着々と進められた。
両家の顔合わせ。
あちらの両親が うちの実家へ来た。
まぁさほど堅苦しくもなく、終始和やかな雰囲気で会話は進んだ・・・
が。
二人の結婚の話になり、最後に義父が言い放った一言。
「嫁に来てもらったからには返(帰)しませんので」
微笑みながらの発言だったにしろ、うちの両親もその言葉には苦笑い・・・。
まぁニュアンスとしては、だいたい言いたい事はわからんでもないけど、
”返しません”て・・・
わしゃ物か(-_-メ
帰った後にも母親に、「返しませんって言うてたなぁ。ちょっと~大丈夫?w」と打診を入れられてしまった・・・。
そんなこんなで準備は進む。
指輪は義父の友人に頼み、式場も第一候補の所だけ見学に行き即決め。
これまた義父の知り合いで 写真家の方がいたので、前撮り・当日の写真はその方に頼んだ。
住む家(マンション)も購入した。
引越しの日程も決まった。
引越しのひと月前に私は退職した。
そして、父・母・私の三人で 最後の旅行に行った。
行き先は北海道。
ツアーじゃなく、レンタカーを借りて行きたいところに行きまくった。
まぁ楽しんでたのは私とオカンだけやけど(笑)
引越しも間近に迫ったある日。
唯一 一度だけ母親に真剣に言われた事がある。
「ホンマに大丈夫?絶対苦労するよ?やめるなら今のうちやで・・・」
正直、少しショックだった。
一番喜んで欲しい人から、心から送り出してもらえない事に・・・。
母にそう言われても尚、私はMとならどんな事も二人で乗り越えていけると信じていた。
引越し前日。
私は両親に別れの挨拶をした。
完全にベタな展開で、ちょっと照れながら お決まりのセリフを口にする。
「26年間、本当にお世話になりました」
人間て不思議ですね。
こんなベタなセリフでも、自分で口に出すと 一気にいろんな想いが込み上げてきて
淋しいやら、悲しいやら、切ないやらで、どんどん涙がこぼれてしまった。
そんな私を見た母も目に涙を浮かべ、
「頑張ってね!」
と声をかけてくれた。
父は・・・
「はいは~~い。頑張って~~」
と、あっけらか~んと言った。
翌日。
26年間 生まれ育った地を離れ、第二の人生を歩むべく新たな地へ旅立った・・・