「飲み足りんのちゃう?」





坂下さんの 意味有り気な言葉に期待しながら私達は店を出た。







細川さんの自宅は遠方で車通勤の為、専属代行(ご両親)が来ていた。




谷口くんは、自転車。




坂下さんは、普段は原付なんだけど




この日は飲み会という事もあって、自転車で来ていた。





私は・・・




タクシーなので、「お店の人に呼んでもらいましょうか」と谷口くんが言ってくれた。









すると・・・

 





「いや、多分すぐつかまるやろ」






と、坂下さんが即答した。




細川さんも谷口くんも 「絶対つかまらんやろ~」と全否定。





比較的この辺では 流しのタクシーがあまりないので




私も つかまる気はあまりしなかった。





すると今度は 坂下さんが突然




「ホンマに佐藤さん帰ったんかなぁ・・・?ちょっと佐藤さんに電話して今から合流しますわ」




と言って、電話をかけだした。




まるで、細川さんと谷口くんに「だからもう先帰っていいよ」と言わんばかりに・・・。





もちろん、二人は帰るわけもなく、そして電話も繋がるわけもなく




そんな感じでうだうだしていると 細川さんが




「車乗ってく?家まで送るよ?」




と言ってきた。




谷口くんもそれに乗っかって




「そうしたらいいじゃないですか。みんな結構送ってもらったりしてますよ?」












ありがたいけど・・・




ご両親がおるのに、そんなん申し訳ないです・・・




と口では言うものの、内心では




坂下さんの言動がどうしても引っかかり、




期待がどんどん膨らんでいた。




なので細川さんには 丁重にお断りをし、そのまま帰ってもらった・・・。







そして残された3人。




谷口くんが 少し困った様子で 「どうするんですか・・・?」 とたずねてきた。




私が返答に困っていると




「やっぱ店でタクシー呼んでもらいましょうよ!」




と言って、私の返事も聞かず店に戻って行った・・・。









最悪・・・。




せっかく坂下さんと飲みに行けると思ったのに・・・。




はよ帰れよ、谷口・・・。(ひどw)








と思いながらしょんぼりしていると・・






「どうするん。もう帰るん?」 と坂下さん。






やっぱり私の期待は間違ってなかった!!




私は思い切って




「あ~・・・。飲みに行きます?」




誘ってみた(・∀・)





「おぉ~・・・行く?」









何その言い方(●´艸`)




つーか坂下さんが私と行きたかったんちゃ~ん┐(´ー)┌




と若干うぬぼれながら、喜びはMAXに。















しか~~し







谷口(もう呼び捨てw)の存在を忘れてたΣ(゚∀゚*)




「谷口くん・・・タクシー呼んでもらいに行きましたけど・・どうします?」




と言ったところで 谷口が帰ってきた。(空気読めよ、谷口~)




「5分ぐらいで来ます!」 爽やかに言う谷口。




そして帰らない谷口。(だ~か~ら~)







どうしよ・・・。




タクシー乗ってしまったらどうしたらええんやろ・・・(∀・;)オドオド(;・∀)




と思っていると、電話が鳴った・・・。 メールだ。




瞬時に坂下さんからだとわかった。





手紙  「○○でおりて」













:;。+゚+。キュ━(*´ω`*)━ン。+.。゚:;。+




ですよ。




なんか秘密のやりとりが たまらなく萌えたね(・∀・)












その後、言われた場所で降り、坂下さんと合流。




近くのダイニングバーに行き、第一声




「谷口巻くん大変やったわ~」 と坂下さんが言った。




どうやら、家と合流場所が真反対な為、




怪しまれないように切り抜けるのが一苦労だったとか・・・。




でも別に、谷口を一緒に誘っても良かったはずですよね?(私は二人がいいけどさ)




なのに嘘をついてまで ここまで来たという事は・・・




やっぱり坂下さんも私の事・・・





結婚しているけど・・・




坂下さんとなら付き合いたい・・




そう思っていた。





「不倫否定派」なのは変わらないけど




今思えば、多分




坂下さんは なんだかんだ言って結局絶対浮気なんかしない人だと




心のどこかで思っていたから、そう思えたのかもしれない。




そういう真面目な人だから好きになったんだと思う。








でもこの時はまだ、かすかな期待をしていた。




私からアタックすれば 付き合えるかもしれない・・・と。




ただ、今言って断られたら 仕事に支障をきたす。




気まずくなるのは間違いない。




逆に、付き合えたとしても




会社で会ったら 私は絶対赤面してしまう。




だったら・・・




もうすぐ仕事も終わりだし、




最後の日に告白をしよう!




そう決意した・・・。