酔っ払ってフラフラになっているとはいえ、意識だけはハッキリしていた私。
”襲わない”って 高野さんは言ったけれど
私も 言葉の全てを鵜呑みにする程バカじゃない。
かと言って、”ヤってもいい”と思ったわけでもない。
むしろ”絶対ヤりたくない!”って思ってた。
それなのに・・・ それでもノコノコ付いてきてしまった。
正直、少し覚悟した反面 心のどこかでは高野さんの事を信じていた。
部屋に入ると
とにかくフラフラだった私は
真っ先にベッドに腰掛けた。
すると高野さんは、電気もつけず 真っ暗な中 私の横に腰掛けた。
そして肩を抱き キスをしようとしてきた・・・。(はやっ)
私はとっさに顔を背け、笑いながら
「ダメですよ~~」
と、手で高野さんの顔をぐいっと押しのけた。
少し話が前後するけど
食事中に告白をされた後
高野さんは私に
「死ぬまでに一回でいいから キスしようよ」
と言っていた。
それに対して 私は
「いいですよ(*´∀`)クスクス 」
と答えていた。
別にキスのひとつぐらい・・・って思った。
”死ぬまでに一回キスをする”事に承諾したのに、拒んでしまった私。
でも 顔を背けてしまったのは無意識だった。
嫌ではなかったはずなのに・・・。
そんな態度な私に 高野さんは少し苦笑いしながらスクッっと立ち上がり
「もう寝よか」
と言って私の傍から離れた。
拒む事は悪いとは思っていない。
拒んで当然とまで思っている。
けど・・・
嫌だったら何故付いてきたんだ・・・?
今 拒むより、来る事自体を拒めば良かったんじゃないか・・・。
その気がないのに、かえって高野さんに期待を持たしてしまった自分に少し腹が立った。
切なそうに着替える高野さんの背中を見て
”ごめん・・・” と心の中で思った。
実は 高野さんは全くめげてなかったとも知らずに・・・