それは、20数年前に父の代わりに親戚を訪ねたときのことです。
山深い村に住む親戚の方に、よく来てくれたと、とても歓迎されました。

昼ご飯になると、「先ず、食べてくれ、ほれほれ赤飯だ」「ほれ、漬け物も美味いよ」と、一時も間を開けず料理を進めます。

そして、次は「ほら、家の田圃で取れた餅米で作った餅だ」とデカイぼた餅二個が出されました。
さすがに、もう食べられないし、どうしようか思案してた時、運良く(叔父さん、すみません?)部屋を離れました。



その隙に、ぼた餅二個をハンカチに包みスーツのポケットに突っ込みました。
そして、戻ると「吸い物も美味いよっ」と、正に次々にです。
進められるまま、言われるがままに食べました(勿論、今より若いし、いっぱい食べれました)。

「ほらほら、これは今日の中で、一番美味いよ、何より新鮮だから。今朝捕ってきたんだ」と、言って出された『刺身』。
この山中で。朝捕れたて? 川魚? と、ちょっと恐る恐る食べました。
やや、ヌルヌルしているが、味はそれ程悪くはない。

めでたく全部食べ終わって、ガマンできず、「あの刺身は、何の魚ですか?」と聞いた。

「あー、ウラの沼で捕れたナマズだ、美味しかったべ」



おえっ、思わず、吐き気がしました。