僕がカートをおしてたら、ユノさんが代わっておしてくれる。
…たぶん、お肉たくさん入って重くなったから…僕、男なのにな…その気づかいが嬉しい。
ユノさんって、自然とそういうことできる人…きっと、モテる…見た目だけでなく、中身もかっこよくて…
選り取り見取りなはずだよな…本当は。
でも、僕をそばにおいてくれる。
…カートに手を添えて一緒におす。
とても自然にカートに添えた僕の手に触れる。そのまま、指を絡めて…。
僕は恥ずかしくてうつむくけど、嬉しいからそのまま…
ユノさんと焼肉の漬け込みタレの話をする。話しをしながらその目を見つめ返すのが精一杯なのに…指先で僕の手の甲をすべらして…
これも無意識でやってるんだと思う。
ユノさんの甘いスキンシップに…
もう、無理…ドフンくんをなでて、僕を見透かすような視線から逃げる。
ユノさんに見つめられると、心の中までのぞかれてるような気持ちになる。
僕の気持ちなんて…もう、知ってるけど。
全ての準備が終わって荷台に積み込むと車まで移動する。
…こんなに入る?
ミニクーパーにそんなスペースあったっけ?
居住者専用駐車場にそれぞれの物置があって、そこからルーフBOXを取り出して屋根に付ける。
あぁ…そこに入れるんだ…ユノさんが手慣れた様子で積み込んで行く。
「残りは車の中に入れます。」
寝袋とか、小振りなものは中に…これでミニクーパーにキャンプ道具が入った。
この短時間に、あんだけあった荷物が…
ユノさん、かっこよすぎる…感動する。
「しゅっぱ~つ♡ポッポ~!」
ドフンくんの合図で車が出発する。
ワクワクする…これから3人でキャンプ。
海が見えるキャンプ場を目指した。
「あれ…ドフン寝た?」
ユノさんがバックミラーをのぞき込む。
「ドフンくん?」
さっきまで大騒ぎしてたのに…いつの間にか寝ちゃってる。
「早く着いちゃいそうなんで、橋を渡る前に景色を見ようかな…」
車を停める。
「うわぁ…」
すごく海がきれい…エメラルドグリーン、透き通ってる。
「全国でも有名なんですよ…ここ」
そんな僕に嬉しそうに微笑む。
「知らなかった…近くにこんなところがあったんですね…」
車を降りようとしたら、ユノさんに手を引かれる。
そのまま、僕のうなじを掴んで…
「ん…」
甘いくちづけ…心臓がきゅ~ってなる。
ゆっくり入ってくる熱い舌…その動きに翻弄される。
誰かに見られたら?…ドキドキする。
「景色を、見ましょうか…」
首に指を這わして耳もとで囁く…
景色?…今はそれどころじゃないんだけど…
僕はフラフラになりながら、ユノさんの後ろをついていく。
つづく
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