意識ってどうなってるの? | コミュニケーション力向上委員会!CAC49

意識ってどうなってるの?

こんばんは。

コミュニケーション力向上委員長の大津です。


昨日は、

私が心理学やカウンセリングを学び始める

きっかけとなった出来事と、

学び始めてからぶつかった疑問について

書きました。


その疑問とは次のようなものでしたね。


心の基本構造は共通のものであるはずなのに、


◆なぜこんなに色々な学派や考え方があるのだろうか?


◆なぜそれぞれの主張が違うのだろうか?


◆なぜ真っ向から対立する考え方があるのだろうか?


◆なぜ流派でいがみ合ったりしているのだろうか?


◆私はいったいどれを学んだらいいのだろうか?



今日はこの疑問を解決してくれた

素晴らしい知恵についてご紹介します。


それがアメリカの心理学者、ケン・ウィルバーの

「意識のスペクトル」という考え方です。


彼は「無境界」という著作の中で、

私が上に挙げた疑問について

以下のように述べています。


(以下、引用)

   心底から自己知を増大しようとしている人は、

  心理学的、宗教的システムのあまりの多様さに

  直面し、どこから手をつければいいのか、誰を

  信じればいいのか、ほとんど手探りの状態である。

   心理学と宗教の主な学派を注意深く研究したと

  しても、はじめた時と同様、混乱のうちに終わりが

  ちである。これらのさまざまな学派が、全体として

  明らかに矛盾しているからだ。

   たとえば禅仏教では自我を忘れ、超越し、看破す

  るように言われる。ところが、精神分析では自我を

  強化、防衛、保護する方向が強調される。

   どちらが正しいのだろうか?


そして、この疑問に対して

明快な答えを示してくれました。


それは、人間の意識というものは

概ね5つのレベルの階層構造をしており、

それぞれのレベルごとに問題や葛藤が違という

意識のスペクトル理論です。


その理論の言わんとすることは要するに、


それぞれの心理学や宗教は、

一見「人間の意識という単一のもの」を扱っているように

見えて、実は意識の中の違うレベルの問題を扱っている。


違うレベルの問題を扱っているから、

一見矛盾するような全く違うアプローチになっているのだ

というのです。


では、人間の意識の階層構造(スペクトル)とは

どんなものなのでしょうか?


ウィルバーの理論を私が分かりやすくまとめた

図を以下に掲示します。



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いかがでしょうか?


…なんて言われても、何のことか分かりませんよね。

そこで、なるべく簡潔にこの図の説明を試みてみましょう。


まず、上の方で書いた

「人間の意識は概ね5つの階層構造をしている」という点

についてお話をしましょう。


上の図の左端を見ると、

4つのレベルが縦に並んでいます。


①仮面のレベル


②自我のレベル


③全有機体レベル


④統一意識レベル


ですね。


この4つに、黄色く囲んだ領域である

⑤超個(トランスパーソナル)な領域

を加えて、全部で5の階層となります。


「概ね」という曖昧な言い方をしているのは

もっと細かく分けることもできるが、

「概ねこの5つに分類してよい」という意味です。


次に、

なぜ人の意識はこんな階層構造になっているのか?

について説明します。


人間はこの世に生まれた時、

図の一番下にある統一意識レベルの状態にあります。


要するに、

自分とか自己という意識はまだなくて、

完全に世界(宇宙)と一体化しています。


自分と他人という区別もないし、

自分の身体が今横たわっているベッドとは別のものだ

という意識すらありません。


いわば、自分と他者を分ける境界が一切ない状態です。


図の左上から右下に向かって

赤い線が横切っていますが、

これが意識の境界を示しています。


この線をよく見ると、

トランスパーソナルな領域で実線から点線となり、

一番下の統一意識レベルでは

線が無くなっていますよね?


それは、

赤ちゃんが生まれた時の状態である

統一意識レベルには

境界というものが存在しないからです


赤ちゃんの意識の中では

周りの環境も自分も全てが混然一体となり、

自分と他者の見分けがつきません。


何の悩みも心配もなく、

世界の揺りかごに揺られています。


お腹が空けば泣き、

おむつが気持ち悪ければまた泣きます。


でも、

それは食事ができないことを心配しているからでも

おむつを換えないと健康に悪いと考えているからでも

ありません。


単に身体が反応しているだけです。


ところが、成長するにつれ

赤ちゃんはこんな風に感じ始めます。


おや?

どうもこの世界には自分というものがあるようだ。

それは、このベッドとも違うし、

ぬいぐるみとも違うし、

「ママ」という名のこの人とも違う。

なにやら独立したもののようだ…。


いや、もちろん言葉も知らない赤ちゃんが

こんな哲学的なことを考えるわけはありませんよ(笑)。


赤ちゃんの心の中にわきあがってくる

何やら不思議な感覚を言葉にするとこんな感じかな?

ということです。


つまり、

それまで自覚できなかった自分という感覚

はじめて自覚し始めるということですね。


しかし、この時、

意識の中で非常に重要な出来事が起きています。


それは、

意識の中で初めて境界線を引いた

という出来事です。


それは

周りの環境(世界全体、宇宙)と自分との間に

境界線を引いて、自己を分離した

ということです。


自分を自覚するとは、

今まで混然一体となっていた

周りの環境と決別する

ことを意味するのです。


上図の「全有機体レベル」を赤い実線が横切り、

左に「全有機体」、右に「環境」というように

2つに分けられているのは、

自分と環境が決別することを意味します。


ちなみに「全有機体」とは何かというと、

身体と心を合わせた有機体としての人間全体

という意味です。


皮膚で覆われた内側にあるもの全て

と言ってもいいでしょう。


このようにして、

人間ははじめて環境(世界、宇宙)から独立し、

成長するにつれて図の上の方に上がっていきます。


しかし、実はそれこそが

人間を苦悩へと導く道でもあるのです…。



だいぶ長くなってきたので、

今日はこの辺で終わりにします。


続きはまた明日の記事で。


今日の記事は難しい話もあったので

分からない点も出てきたと思います。


疑問点などがありましたら、

コメントやメッセージでお気軽にどうぞ。


では、お休みなさい^^。