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今は昔の話であります。
私がピチピチの小学一年生のとき。
父親から渡された、一冊のノート(ジャポニカ)。
「今日から日記をつけない。これはお前だけのノートだ」
「わー……、私だけのノート!」
私には妹がおりまして、『自分専用』は、当時の私にとってキラキラしい響きでしたね……。
しかし、そんな「自分だけのノートもらった、嬉しいな♡」と言うことで終わる話ではありません。
ウチの父は新聞記者で(もうとっくに定年で辞めてますが)、家庭学習の国語担当だったのです。
母は銀行員だったので、算数担当。
新聞記者って、シフトが目茶苦茶なんです(当時。今はどうなんでしょうか……。)。
深夜1時まで詰めて、朝刊の記事に対応したり(急な大事件とかで差し替えがあったり)、夕刊の締め切り時間で上がれたり。
地方に飛ばされて単身赴任は必須。
緊急事件で呼び出し。
父はポケベルが出始めて持たされたとき、ポケベルがいつ鳴るか気になって気になって、ストレスから円形脱毛症と胃潰瘍併発してました(今考えると可哀想が過ぎる)。
そんなシフトで娘とコミュニケーションをまともに取れるはずがないのです(ん?人によるかも?)。
そこで父が考えたのは、
『日記を書かせてチェックしちゃおう作戦!』
これなら、文章の添削と、その日あった子供の出来事や考え方が一気に分かっちゃうぞ!天才だな!!
みたいな……。
日記の添削って……。
振り返ってみれば、なかなか最低ですよ。
人が読む前提の日記。
添削される日記。
違う、日記ってそうじゃない……!
プライバシーはどうした!!
確かに、「1日1回、親に文章を提出しろ、内容は何でも良い」となったら、日記という形になるのでしょうが……。
今考えると、何と言いますか……、デリカシーのカケラもない、もう少し子供のプライバシーを尊重してくれと言いたくなる案件でありました。
しかし、ここで1つお伝えすることは、
「親に読ませる日記を書いていた4年生までが、1番文章の表現力があった」
と言う事実です。
18歳で実家を出る前に読み返したんですけど、字は下手だけど文章は上手かったな……と、当時の自分がしみじみ思ったことを覚えてます。
(お散歩していて、風が吹いてふと空を見上げたらピンク色の花が目に入った。春は空からやってくると思った。みたいなことを書いていた小2女子。親受けを狙っているのがよく分かります)
人に読まれる前提の日記を毎日書いて添削されれば、上手い文章を書けるようになる。
しかしプライバシーもへったくれもない。
悩ましいチョイスですね……。