曼荼羅のように広がる建造物の中心に凱旋門のような立派な入り口らしきものがそれぞれ東西南北に配置して建っており、門の左右にはどこかで見たような古代神話の英雄、神々が猫型の生き物をハグしている構図のレリーフ、フリーズなどがびっしりとならんで、明らかに不可思議な雰囲気を醸し出しています。ここの住民は地球の歴史を少なからず知っており、ミソズイと人間たちが訪ねてくるのを遠い過去から知っていたのでしょうか。地獄の門なら「ここに入るもの一切の望みを棄てよ」となるかもしれませんが、M子にはおどろおどろしいものが逆に楽しみなものに感じてしまうのでした。

 

重要なエピソードとして、このあいだまでの母船でのできごとを思い出してみますと、「もうすぐ会える教団」の強い申し入れによってミソズイは体を張った仕事に従事することになったのです。教団の学者が主張するのには、「太古の昔しに神と行動を共にしたミソズイに触れることは間接的に神に触れることになる」そして「触れた人は段階が1段上がり神に近づき進化する」というものでした。これはまるで古代社会のオカルト儀式が復活したようで非常に奇妙な主張であり科学者からは荒唐無稽だという批判も様々にありましたが、探索優先で不満が募り我慢を強いられている人々が少なからずいることを十分に知っていたミソズイは教団の主張を快く受け入れました。実際にはハグとチークキスです。1週間に10万人もの人にハグされ頬ずりされて、髭が全部抜けてつるつるになっても嫌な顔ひとつしないで、随喜の涙を流す人々に奉仕するのでした。そしてミソズイに対する人々の信愛の情は日増しに大きくなってゆくことになりました。

ミソズイ (Leonardo.Ai生成)