先日、両親が些細なことから言い争いになった。

 

 ことの発端は、母が近々コンサートを観に行く予定があり、当日会場まで車で送迎してほしいと父にお願いしたことからだ。父の返事は「送れない。」と、ここで終われば良かったものの「それぐらい自分で運転しろよ。」と続けざまに言った。側で携帯を触っていた自分も、思わず耳を疑い顔を上げた。一言多いのは明らかだった。

「その言い方はおかしくない?」と母。そこからは売り言葉に買い言葉。日頃ため込んでいたストレスが噴き出し、「仕事が…」「家事が…」とか、もはや車の送迎とは何の関係もない話になっている。そして日頃ため込んでいたストレスが発散されたのか言い合いは暫くして終わった。

 

 父が母に必要のない悪態をついたのは、この日は機嫌が悪かったからだ。原因はわからないけど明らかに不機嫌だった。そんな些細なことかと思うかもしれないが、父は機嫌が悪くなると何かにつけて人に当たる癖がある。これまでもその癖で父と揉めたことがよくあった。

 

 不機嫌なことは別に悪いことじゃない。人間だから気分の良し悪しがあって当たり前だ。でも不機嫌だからといって人に当たっていいのだろうか?怒りや嫉妬など負の感情に支配されて、衝動的に相手を言い負かしたところで、その場はスッキリするかもしれない。けれど相手が嫌がるのもちろんのこと、後で冷静になって相手を傷つけたという自責の念が湧いてくるし、相手との関係性にもひびが入り、結果的に自分も相手も傷つけることになる。

 

 常に機嫌がいい状態でいるのは無理に目指さなくていいと思う。それは難しくて、しんどいことだから。でも「いま機嫌よくないな」と思った時には、感情の波にのまれないように工夫しなきゃいけない。深呼吸でもいいし自分が気分が上がることでもいい。自分に合った機嫌を取り戻せる方法を何かひとつ持っておくものだなと両親のやり取りを見て思った。波にのまれるどころか反対に乗りこなすぐらいの余裕を持ちたいものだ。