わたくしが幼少の頃、日曜日の午前中に決まって聞こえていた音楽にござります。
わたくしの父親が毎週聴いていたレディオ番組の、オープニング曲でした。
父親が飲んでいた珈琲のかほりと共に
この曲を聴く事によって、今日が日曜日だといふ事を実感でき、
実に清々しい気持ちになり、今日は何をしやうかといふ期待感に満たされ、
夕方、“サザエさんシンドローム” に見舞われるまで、
その楽しみは続いておりました。

この、日曜の朝の高揚感を象徴する楽曲は、
アルフレッド・ハウゼ楽団の「ミリタリー・タンゴ」といふ曲にござります。
この曲のオープニングのレディオ番組について検索してみましたところ、
すぐさま判明致しましてござります。
毎週日曜日の午前10時から11時に放送されていた
「キューピー バックグランドミュージック」といふ番組にござりました。
1964年に放送が開始され、その後
ナレーターやスポンサーを変えつつ、なんと2009年まで続いた長寿番組だそうな。
番組の内容は、そのタイトルが示す通り、
日曜日の穏やかな朝に相応しいBGM、これすなわちバックグラウンドミュージックを中心に
流している番組にござりました。
楽曲としましては “BGM” といふ事で、歌曲ではない
イージーリスニング系のインストゥルメンタル、
当時の言い方をするなら「ムード音楽」がメインにござりました。

わたくしの父親は、こういう系統の音楽が好きで
レコード(もちろんアナログ盤のLP)も結構な数を所有しておりました。
わたくし自身の音楽の好みが、シティポップ、更にはチルアウト系の音楽に
傾倒していったそのルーツともいえるべきが、この番組と
父親の好みの影響によるもののやうな気がします。

「キューピー バックグラウンドミュージック」について、更に検索しておりますと
なんと当時(1970年代と思しき)の番組の一部音源が、残っておりました。
こちらにござります。



そうそう!これにござります。
さすがに、当時のキューピーのCMは記憶にござりませんでしたが、
本編の雰囲気と、なんとなく古くさいナレーションには覚えがありました。
懐かしうござります。

父親にもこの音源を聞かせてみましたが、認知症状が進んでいるためか
記憶には無い様子でした。
二度と戻らない、幸福だった日曜日の光景は
自身の脳裏に焼き付けておこうと思いました。