若いころモルディブへ行った。

美しいエメラルドグリーンの海。色とりどりの小さな魚がたくさんいる浅瀬でシュノーケリングをした。

魚たちを追いかけてどんどんビーチを離れると、突然崖っぷちが現れ、その先は深く暗い闇だった。

ダイビングのできる友人たちは、どんどん闇に潜って行った。私も少し冒険心を出して

水面ではあるが、崖の少し先まで行って怖くなってすぐに引き返した。

 

今回の出来事は、まさにあの時の崖の向こうに引きずり込まれるような感覚だ。

MRIの結果、私の膝はひどい状態だった。軟骨がすり減るだけでは事足りず、さらに

半月板を押しつぶして関節の外に押し出していた。

O脚が災いして、膝の内側にばかり体重がかかり招いた結果だそうだ。外側はまだそこまで軟骨もすり減っていない。

 

そこで提案されたのが、高位脛骨骨切り術という恐ろし気な手術だった。

膝から下の骨を切ってずらし、重心が膝の真ん中にくるように金属で固定するという。

医師は模型を見せながら、淡々と説明したが、私は心拍数がバクバク上がるのを必死で

押さえながら聞いていた。

手術しなければ、このまま軟骨がなくなり痛みに襲われ、人工関節にするしかなくなる。

人工関節も完璧な関節ではないので、可動域も狭まり、違和感も生じるそうだ。

 

え、待って待って!

なんかだいぶ前のニュースで見たけど、義手や義足の技術がすごいハイテクになってて

脳からの指令で動かせるとか、ごっついもんできてたよ!

そんなん、軟骨なんかシリコンかなんかで作れるんちゃうん⁈

すり減ったら終わりて、いや、なんとかしてよ!!