私の仕事が金土休みなため、木曜夜になると決まって長女から連絡が来る。

銀行に行きたい、買い物に行きたいなどの理由で子守を頼まれるのだが、正直もう

2か月も過ぎ、車に立派なベビーシートもあるのだし、ベビーカーを積んで子供を

連れていけるのではないだろうかと思う。

 

長女はインドネシアで生まれた。もう25年も前のことだから、今の様子はわからないがその頃は、まだまだ近所の人がよく面倒をみてくれた。子供を預けて出かけるということはしたことがないが、泣いているとどこからともなく現れて、だっこしといてあげるから用事しなさい、などと助けてくれた。

 

日本ではお手伝いさんがいるのは、どこかの社長の邸宅ぐらいのものだが、インドネシアでは、ごく中級でも住み込みでお手伝いさんを雇う家庭がけっこうある。

だいたいが共働き夫婦の家で、家事も子守も任せている。

元夫の上司は華僑のお金持ちで、奥さんは専業主婦にもかかわらずお手伝いさんがいた。

まだ子供が小さい頃は、ショッピングにも一緒に連れて行って、子供の世話をさせていた。私たちが店でご飯を食べる時も、軽食程度だが別のテーブルで食べてもらっていたが、そういうことに慣れていない私は、なんだか気の毒な感じがして、ゆっくり食べていられなかった記憶がある。

 

うちにも何度か雇ってほしい、と人が訪ねてきたことがある。

中にはすぐにでも住み込みで働きたいと言われ、断ると帰りの交通費がないからお金が欲しいと言い、いくらか渡したこともあった。日本人がいて、子供が生まれたのに誰も

雇わないのが不思議だったようで、元夫と相談して、朝だけ洗濯と掃除をしに来てもらう人を頼んだ。

 

その人はかけもちで何軒か回っていて、うちが終わると別の家に行ってアイロンがけや

食事の支度をしていた。

時々、学費や生活費が足りなくて、給料の前借をしたいと言ってきた。

ご主人は働いていないようで、かけもちでよその家で働くその人が気の毒で、言われた額より少し多めに渡したりしていた。

私たちが日本に引き上げることが決まり、本当によくしてくださったので退職金というか、お礼にまとまったお金を渡すと、ここの仕事がなくなるのはとても痛い、と言い

日本について行きたいぐらいだ、と話していた。

 

長女には、膝の具合がよくないと言って、子守を断った。

もしかすると、次女に連絡しているかもしれない。両方の実家が同じ町内にあり、

空いていれば使える弟と妹もいる。なかなか恵まれた環境なんじゃないだろうか。