おはようございます!

理学療法士の權藤大介です。
 
 
 
ヴィッセル神戸にイニエスタ選手が入団しますね!
個人的には選手本人はもちろんですが帯同する3名もの理学療法士に興味津々です(笑)
 
Sportsvitaより引用

日本では理学療法士といえば病院で働いているイメージが強いですが、メッシ選手やネイマール選手にも専属の理学療法士が帯同して詳細な身体のチェック・ケアを行っています。
 
最近では専門職のアドバイスを受けるだけでなく、スピードスケートの小平奈緒選手のようにアスリート自ら解剖学の専門書を読んで、コーチやトレーナーと情報共有する方が増えてきました。
 
現場ではコーチやトレーナーが身体の使い方に対して「〇〇を意識して!」という声かけをしますが、選手にビジュアルイメージがあれば、より深く意識できます。
 
今回は呼吸を例に、知識と意識のリンクの重要性についてお話しします。
 
 
 
 
先日の車イス短距離選手のトレーニングでの事。
 
彼はもともと車イスを漕ぐスピードを上げると首や肩が力んでしまうクセがありました。
そのため、ラストスパートで上手くスピードを上げられず、タイムが思った以上には伸びませんでした。
また海外遠征も多く、レース場の環境だけでなく滞在するホテルも全く違うので、レース前に身体を休める事が出来なかったと言います。
 
しかし呼吸法を変えたことでリラックスしやすくなり、肩の力みも抜けました。
 
その呼吸法とは丹田(へその下)に手を当てて、眉間と丹田と手に意識を集中させて普段と同じ呼吸をする事です。
 
ではまず、なぜ「眉間」と「丹田」を意識するのでしょうか?
 
眉間はヨガでは「第三の眼」や「直観を司るチャクラ」として重要とされています。
解剖学的には鼻呼吸をした際の空気の通り道で、空気は眉間を通り、奥に流れて気道に入っていきます。なので空気の流れを正確に感じ取るためには眉間への意識は欠かせません。
新耳鼻咽喉学より引用
 
丹田は「腹を据える」「腹をくくる」など日本人が昔から大切にしている場所です。
丹田の奥には腸があり、腸ではセロトニンやドーパミンという物質が生成されます。
セロトニンの効果は「精神を安定させる」「姿勢を良くする」などがあります。
ドーパミンの効果は「やる気」「快感」をもたらしてくれます。例えばランナーズ・ハイがそうです。
本来は脳に働きかける物質ですが、セロトニンは95%、ドーパミンは50%が腸で作られるのです。
丹田に手を当て意識を集中することでセロトニンなどの物質の働きを促してくれるのだと考えます。

 
 
次になぜ普段の呼吸なのかを説明します。
 
呼吸の話題になると「腹式呼吸」というフレーズをよく聞きます。
そもそも呼吸では横隔膜が下がり肺の中が陰圧になることで肺に空気が入り、肺が膨らむことで結果的に肋骨が膨らみます。
しかし膨らませることを優先してしまうと体が力んでしまい、それ以上空気が入らなくなってしまいます。
呼吸は1日で2万回繰り返す運動なので呼吸で力んでしまう癖がついてしまうと、普段の生活はもちろん、緊張が伴いやすい試合や本番ではパフォーマンスを落とす結果となってしまいます。
 
 
 
今回は、現場で良く使われるフレーズ「○○を意識しろ!」の理由を呼吸を例題にしてお話ししました。
アスリートの方やアーティストの方もこのフレーズをトレーナーなどから言われたこともあるでしょう。
そんな時、その場でトレーナーに理由を聞くなり、後で調べるなり、知識を持つことでより深く意識が出来るはずです。
 
 
 
それでは、また!