【過去(2013年)の長期出張時の記録です】


みなさんはアマゾナス劇場をご存知ですか?

アマゾンのジャングルの街に建てられた、パリ・オペラ座を模したオペラハウスです。



マナウスに旧市街・セントロという地区がありますが、そこにセバスチャン広場があります。周囲はヨーロッパ風の建物が多く、中央には大航海時代のポルトガルの栄華を示すモニュメントが建てられています。




この街は19世紀末にゴム景気に沸き、世界中の富を集めました。ジャングルの真ん中にある街であるにも関わらず、市電が走り、ヨーロッパの街を再現しようとし、パリのオペラ座を模したオペラハウスが建設されたのです。それが、アマゾナス劇場です。



線路の跡。今は何も走っていません。



広場は木で囲まれ、モザイクタイルは海を現しているそうです。確かに波のように見えますね。



特に広場を囲む木々は美しく生えそろい、心地よい木陰を作って市民の憩いの場となっています。もっとも熱帯の街なので、昼間はひなたを歩いていると日射病になりそうです。



その後、ゴムはイギリス人の手で東南アジアに持ち込まれ、マレーシアなどイギリスの植民地でゴムのプランテーションがつくられました。これにより、市場から遠いアマゾンのゴムは競争力を失い、マナウスの街も衰退していきます。

歴史はこれくらいにして、アマゾナス劇場に入ってみましょう。



Teatro Amazonas の頭文字が入口のガラスに意匠として施されています。


このカフェも人の数だけあったたくさんのドラマを見てきたのかな。


入口ホールのシャンデリアがレトロで美しい。

このオペラハウスに使われている大理石や調度品は全てヨーロッパから輸入したそうです。木に至ってはアマゾンからヨーロッパに持ち込んで、加工してから再輸入したんだとか。木は土地の気候に合わないと長持ちしないからでしょうか。


フランス製の階段。これだけでもスゴい。


劇場の中。オペラハウスを見たのは初めてなので、圧倒されます。


劇場の天井はエッフェル塔を下から見上げた意匠だそうです。


舞台はそんなに広くはありませんが、見応えは十分です。



中は4層になっていました。舞台に近い階上の特別席にも入れて頂きました。当時の社交界はどんな風だったのかな。


イスはイタリア製。座面がたためるのは今の劇場と同じ。

サロン。床の木材のモザイクも美しいホール。


テラスの天井。手が込んでます。


後方から見た劇場。


一度だけ、会社が終わってからコンサートを見に来ました。昼間のガイドツアーとは違い、着飾った人達が集まり、少しだけ往時を偲ぶような時間でした。

パリ・オペラ座に比べると小さくて控えめなのかもしれませんが、これがどこにあるのか考えてみて下さい。今ですら飛行機でもサンパウロから4時間かかる陸の孤島です。この地にこれだけの建物を仕上げた人々の、熱意と努力の結晶ですね。
恐れ入りました。