旅行記を書き始めたら、
必ず締めは「その後の話」になっているのは、
お気づきだと思うが、
今回は、さらにその後の話を。


性懲りもなく、またスーツケースの鍵のことだが、
もしかして保険が適用されるのではないかと思った。
せっかく高い金を払って、ゴールド会員なのだから、
そのくらいの特典があってもよかろう。


早速、カード会社に電話をする。
正直に、鍵を紛失したことを伝えると、
調べた後に折り返し電話をくれるということになり、
待つこと数分。
結論から申し上げると、
盗難はOKだが、紛失はダメだそうだ。
そりゃそうだ。
紛失したもの全部補償していたら、大赤字だ。
しかも、パンフレットに紛失NGは明記されていた。


20年位前に買ったスーツケースなので、
破損したとしても、
減価償却したら残存価格0に決まっている。
破損ですら、補償されない可能性が高い。


そこで、鍵穴の形状から鍵を作ってくれる会社をネットで検索。
相場は10,000円から15,000円だ。
10,000円でやってくれる会社に電話をしてみた。
すぐに受注してくれる勢いだったが、
10,000円は、高い気がする。
躊躇してしまった。


そして、サムソナイトに電話。


ゴ「鍵なくしましたので、鍵ください」


サ「鍵番号、教えてください」


ゴ「どこ見ても、鍵番号ないですよ。製造番号ならありますけど」


サ「製造番号ではダメです。
  見つからなければ、スーツケースの画像を送ってください」


ゴ「分かりました」


と切ったものの、
画像送るのめんどくせーなーと投げやりになってしまい、
数日経過。


ふと、昨晩やる気が起きたので、
画像を送る準備を始めた。
画像を送るには、シールがべたべた貼ってあるので、
恥ずかしくない程度にはがし始めた。
昔、セキュリティ検査を通った後に貼られた、細長いシール、
あれはがしづらいんですよねぇ。
何層にも重なっていて、ますます面倒だが、がんばった結果、
シールの下に鍵番号があったではないか!


そして、本日再びサムソナイトに電話。


ゴ「やっぱり鍵番号ありました。0000です」


サ「在庫があるか確認しますので、ちょっと待ってください」


保留音


サ「ありました。2本で1,000円で、代引きですがどうしますか?」


ゴ「もちろん、よろしく頼みます」


鍵は、明日届く予定です。
20年前のスーツケースでも、在庫あるもんですね。


間に合った!
それにしても、あっさりし過ぎている。
今までの苦労とドラマは、何だったのでしょう…

結局鍵はみつからない。


出発当日に部屋を出る時は確かにジーパンのポケットの中にあったはずだ。
日記を書くことで手がかりがつかめると思ったが、
発見されぬまま今日に至る。
自宅からスワンナプーム空港までの心当たりは、
片っ端から電話をした。
まず、最寄の駅。そして終点のJR上野駅。
京成に乗り換えたので、京成電鉄の忘れ物センター。
成田空港のインフォメーションに電話した後、
税関で確認してもらい、
ゴールドカード会員として利用したラウンジにも。
ANAにも電話し、スワンナプーム空港も確認してもらった。
電話した日、自分の乗っていた飛行機は、
たまたま羽田に駐機していたため、
親切にも座席の周りをくまなく探してくれたそうだ。


ここまでやったら仕方がない。
鍵を交換するか、鍵ナシで使うか、どちらかだ。


旅行でスーツケースが開かなくなってしまったのは、
一見して大きなダメージのようだが、
冷静になった時、たいしたことではないことに気づいた。
命の危険にされされたのなら、真剣にならなければならないが、
そうでなけでば、代替案はいくらでもある。
仮にスーツケースが違う空港に運ばれてしまったとしても、
旅行は続けただろう。
楽観的な性格でよかった。


個人旅行をしていても、
いつも誰かに支えてもらっている。
ひとり旅は、自力ですべてやっているように思いがちだが、
そうではない。
調子に乗らない謙虚さが必要だ。
そうすれば、誰かが救いの手を差し伸べてくれる。


さて、次はいつどこへ行こうか。

最終日は朝5時に起きて、
身支度を整えたら、5時半にはホテルをチェックアウト。
タクシーを拾い、空港に向かう。


今回のタクシーの運転手は誠実な人だった。
明け方だから道はすいている。
渋滞にも巻き込まれず、あっという間に空港に到着した。
端数を切り上げて、250バーツ支払い、
おつりはチップです、と告げると、
笑顔でコップンカップ。
こういう人に、チップをあげたいものだ。


のんびりしたパスポートコントロールを何とか通過し、
飛行機に搭乗。
また窓側になってしまった。


実は、昨晩食べ過ぎたせいか、逆に目が冴えてしまい、
再び外出した上、5時起床だったものだから、
眠気のピークがやってきていた。
座席に座るや否や、熟睡だ。


いつものことだが、嗅覚に訴えるものがあり、
目を覚ますと機内食が配られている。


ゴン太は東南アジアでだらだら


中途半端な洋風のパスタ。
ビールももらう。
そして、また爆睡。


気がつけば成田空港だ。
鍵のかかっていないスーツケースは無事だろうか。
なくなって困るものは入っていないので、
無事でなくても特に困らないが、
中身すべてが日本に到着した。


パスポートには、タイと韓国の出入国スタンプがいっぱいだ。
これだけ押してあると、税関申告を抜ける時に質問されるだろうな、
覚悟はしておいた。
先ほどスタンプを押してもらったページに申告書をはさみ、
確認しやすいようにしたのに、
さあ、どうぞ、と渡した途端に、申告書を抜き取り、
お疲れさまでしたーのひとことで終了。
俺が悪い人だったらどうするの?
あんなにタイに行き来してるのに。
しかも、超短期の訪タイばかりだ。
スムーズに京成のホームに向かった。


アクシデントがないと、もはや寂しさを感じたりする。