生きるのが下手なんだろうなぁ

みんな

あんなにも煌めいているのに

生きるのが下手なんだよな



詩人の言葉って

信じますか?

じゃあ詩人の実存は?

文字に書き記した残骸じゃあありませんよ

詩人が詩人として発する

湯気が出ているほやほやの言葉

ねえ

詩人の言葉って

信じますか?


昨晩によく似た夜がありましてね 実はライブでした ナイショですが

社会的にも会社的にもアウトですが

ここだけには書いておきますね

匿名希望のG3として告知もせずに

やらせていただきました


自分のパフォーマンスは平均点ちょいマイナス

原因不明のギターの歪みが出てしまい

ちょっとやりにくかったけど

そこで演奏を切っちゃうと台無しなので

やり切りました


さて

出番が終わってから

早々とビールが飲めるのがOAのいいところ


早々に機材をしまい込み この時期お客なんていないステージ直近のでも隅の方に陣取ります


そう

一番目が場を温めなければいけないのに

まあ 僕の表現する宇宙というには

実にどよーんとした空気を作り出してしまうのですが

感覚的にライブハウスがその空気感のままで

なんか申し訳なくってね


出る人出る人キュートなのに

その空気をまとっていてね

ちょっと不思議な感じがしました

なんか元気系の人だっていたんですが

僕にはそれも祈りとしての元気で

彼の中の核心部分にアンニュイが住み着いているような気がしてしまってね


ええ

ただの酔っ払いですけどね


でね

僕以外みんなかっこいいの


でね

おのぼりさんなのでライブがはねた後

みんなに話しかけに行くんです


シャイなのにおしゃべりな僕の本領発揮です

こころにもない讃辞なんて出来ません

でもね

デフォルメとも違うんですが

詩人の言葉で話し掛けるんです

喋る言葉が全て詩になるって言ったじゃないですか?

あれ

嘘じゃないんですよ

でね


演者さんだけじゃなくてね

多分誰かの友人で大きなレンズがついてる

一眼レフっていうんですか?

それで写真を撮ってた彼にさえ

唐突に話しかけていました


カメラのこと

写真のこと

全然わかりませんが

映像の詩人がいることだけは

知っているんです


すごいレンズですね

ええ まあ

写真お好きなんですか?

あのね

僕 詩人なんですけど

カメラの詩人も

映像の詩人もいますよね


彼は戸惑ったように

困惑したように 驚いたように

不思議そうな顔で僕を見つめ返します


もう どうしようもなく映像のポエムっていうか

言葉じゃとても太刀打ちできない

その瞬間を

美の瞬間を切り取る目を持ってますよね

素晴らしいカメラマンは


朴訥としたそのカメラ少年がそのまま歳を重ねたようなその彼は

そんな言葉を言われたことなんて初めてだっていう顔をして

でも

とてつもなく素直な視線で


確かにそうです

カメラなんてレンズが良ければいいものが撮れちゃうんです

でも違うんですよね


とか

得意ではない言の葉を浮かべながら

しばし


少し目が泳ぎました

そう

彼の眼が詩人の純情に光ったのを

僕は見逃しませんでした


僕はね

友達なのかな

あの演者さんのある瞬間を捉えようとした

あなたの横顔にね

あなた方が切り取っている

その瞬間を見ましたよって言ったんです

僕は特別な瞬間を切り取る詩人に

詩人としての言葉を

すぐに揮発してしまうノンフィクションを

投げかけていました

彼の目はどんな瞬間を切り取ったのかな

僕の目とiPhoneも夢中になったカメラ小僧の

横顔

切り取っていたんですよ


もちろん 他の演者さんにも

同じ体温にまま 詩人の言葉を投げかけました

その空間にいた人全てが愛おしくてね


多分それは酔っ払った僕が見た幻影かもしれないけれど

何かを伝えられた気がしました

それがある種のしあわせだったらいいなってニヤニヤして帰ったってだけの話なんですが


詩人って紙に書くことだけじゃないと思います


紙に書くだけが詩人じゃないんです

詩人が持ってる魔法を信じてください


ねえ

詩人の言葉って強いじゃないですか?



なんの生産性も価値もない

重さもない

詩人という粗大ゴミも

もしかしたら結構な仕事出来るかもしれないって

思ったんです


世界をほんの少し しあわせ色に変えること

哀しい言葉だって 絶望の叫びだって

それじゃなきゃ洗えない孤独があるはずですよね


ほら

詩人が誇らしく思えてきませんか?


これ

長くて詩じゃないって?


いいえ

詩人の言葉ですよ


ほら

革命はもう

始まっていたんです


いろんなシンクロ

感じているんですよ


ねえ


そうでしょう?