歩行と脳/エンタプライズ

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7月からスロージョギンングに変えましたが、早朝の速足の散歩を10年以上続けてきました。
ウオーキングは、記憶に関係する「海馬」を増やす、など「脳」に良いことは知られていますが、日頃から、「歩くことが体調を整えたり少々の風邪ぐらいは治してしまう」という実感は散歩愛好者は誰しも持っていると思います。
狩猟採集時代から「ヒト」は歩きに歩いてきました。
その過程でケガなどの外傷や腹痛などは薬草などで治癒させたのでしょう。
同時に、臥せっている時と歩いている時の体調の違いに、歩行の効用を知っていたのだろうと想像します。
この本の著者 吉田勧持はNASAの研究員でもあった物理学者で、後に医学のドクターを取った特異な経歴の所有者です。
同じ著者の「構造医学の原理」は物理学的知見を利用して
『(人体の)外形、つまり「器」とそれになじむ内容物(骨、筋肉、神経など)とのかかわりを総合的にみつめる』(私の注)
ユニークな本です。
『「歩行」と「脳」』では癲癇やアルツハイマー病、あるいは血圧や心拍数について、説得力のある議論を展開しています。
「痴呆の人が徘徊するのは、ひょっとしたら歩き回ることで、脳にたまったエネルギー(電荷)を抜こうとしているのではないか、これは生来人間に備わった自然治癒力のプロセスではないのか」
と、これについては臨床実験もなく、断定されていません。
ここは残念な点です。
しかしながら、「徘徊」という「病状」を「異常」と捉えるのではなく「自然」と捉えることは重要な視点の転換、同時に「治療方法」の新たな道筋を開くものだと思います。
「徘徊」を防止するための努力をするよりは、積極的に「裸足歩行」をさせるなどの治療方法も考えられます。
なお「構造医学」の視点に立った病院などは検索エンジンで調べることが出来ます。