寮生活ではいつもお腹を空かせていた
何しろ一番体も動かし
毎日体は成長している時期である
いくら食べても食べてもお腹は減る
学生寮は畑のど真ん中
周りに食物を売っている店など皆無である
まして夕方を過ぎれば
周囲をうろつく人影も途絶える
夕食後少々時間が立てば
すぐに空腹は襲ってくる
2つしかないガス台の前は
インスタントラーメンを作る寮生でいつも行列
上級生も下級生も区別はない
空腹のお腹を抱え皆、並んでいた
雪平鍋は寮生の必需品
もちろん出来たラーメンは
丼なんか持っていないから
片手鍋の取手を掴み直接食べる
スープを飲むときなど
鍋の縁が熱くてよく火傷した
ある時、手持ちのインスタントラーメンも切れ
食べるものがなくなった
しかし空腹はところ構わず襲ってくる
あろうことかたまたま捕まえた蛇がいた
食べることになった
私は都会出身
蛇など動物園かTVの中でしか見たことがない
薄気味は悪かった
がどうしても空腹には勝てない
初めて触った蛇は
私の想像とは裏腹にすべすべしていて
それほど気味の悪いものでもなかった
ただあの長いものが手に絡まってくる
初体験の私とって
やはり気持ちの良いものではなかった
意を決して、当時鉛筆を削っていた
ボンナイフで輪切りにした
あまり記憶は薄れてしまったが
輪切りにする前には当然
トドメは刺していたはずだ
生きているままなど
いま想像しても恐ろしい
哀れにも輪切りにされた蛇は
コンロの上で焼かれることになった
醤油を塗りながら焼かれている蛇は
なんとも香ばしい匂いが寮の中を走り回った
その匂いに釣られ
何人も寮生が集まってきた
時を経ずして、焼かれた蛇は腹を空かせた寮生達の胃袋に
当然私の胃袋にも
名前もしれない蛇ではあったが
本当に美味であった