ファストフードで店長をしていたときの話
ある朝店に出勤すると
深夜シフトの若い社員が浮かない顔をしていた
どうも居心地が悪そうだ
私に話をしたいようだが言い出しにくそう
深夜何かあった模様だ
いつまであがらないでいた
それとなく問いただしたところ
やはり深夜トラブルが発生していた
昨晩、男女二人のお客様が来店され
話を聞くと、どうもその筋の方だった
彼の接客が悪かったのか
注文の商品に問題があたのか
古い話で、記憶も曖昧であるが
とにかくその筋の方を怒らせてしまったという
その筋の方は、注文された商品に手もつけず
そのまま代金を払い、帰ったという
だがそれで終わったわけではない
帰り際
明日の朝、責任者に詫びに越させろ
と、凄んで帰ったという
その筋の方は地元の方ではなく
たまたまこの街に来ていたようだ
私は話を聞き終わると
そこに立ち尽くした
爽やかな朝が一転地獄に変わった
店長として謝罪に行かなければいけないのか
心臓の鼓動は急ピッチ
目の前は真っ暗
覚悟を決めるしかなかった
昨夜注文されて商品を持ち
支払われた代金を返済するため
指定されたラブホテルに向かった
ホテル行き、来意を伝えると部屋に通された
件のその筋の方は待ち構えていた
当然のことに、生きた心地はしない
もう誠心誠意、謝罪するしかなかった
土下座しろと言われればそのまま受け入れただろう
誠意が通じたのか
言われた通り、朝一番で謝罪に現れ
その筋の方の、面子を満たすことができたのだろう
そのかいもあり、あっさりと許された
緊張から解き放されはしたが
膝はガクガク震えたまま
やっと店にたどり着くことができた
今思い返しても、もう二度と体験したくない記憶だ。