MC(曲間のしゃべり)をしなくてもいい公演は久しぶりだ。

演奏の合間に袖に入るとねこさんのしゃべる声が後ろから聞こえてくる。しかし僕はそれをゆっくり聞いている暇もなく楽屋の廊下へ走る。

 仙堂先生が電熱器で焙じて下さった大鼓(おおかわ)の皮を胴と組み合わせてしめる作業に入る。まだ大鼓を組むことに不慣れな僕は時間がかかる。

一部の降り番(自分が出ない曲)「くじら」の間に大鼓を形だけは作り、調べを締め上げられる状態にしておく。取って返して舞台での演奏。そして休憩中に必死に大鼓を締め上げるわけだがこれが一苦労。汗だくになるほどの力仕事。自分なりに精一杯締めたところで休憩中の舞台上に戻り、「ラメント・エ・ダンツァバーバラ」の楽器セッティングの最終確認。

そして二部の演奏へ。

「ラメント~」が終わり、ゲストの方々をねこさんが一人一人舞台へお招きしてのトーク。この間に大鼓の最後の締め上げ。調べ紐を数本まとめて締め上げる。これでかなり大鼓の音が上がる。舞台に音が漏れないように楽屋で一、二発大鼓を鳴らす。気持ち良く鳴るときもあれば鳴らない時も。まあ気休めです。

そしてそのまま舞台袖までダッシュ!そうするとねこさんがちょうどゲストの紹介を終え、「GONNAの川田をまじえ四拍子を。」この言葉で僕は舞台に出るわけです。

演奏もさることながら、打ち交わすはこの大鼓組みにてんてこ舞いの感がありました。しかし何とか無事に三度の演奏をこなせましたのも、大鼓の稽古から焙じることまで面倒を見て下さいました仙堂先生のお陰であり、四拍子で一緒に演奏させていただきましたゲストの皆様には心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。なかなか体験できない古くからある和の世界。(なんででしょうね、まさに日本の音楽なのにね)ここに身をおけたことを嬉しく思います。

大鼓

これを機会に、能や狂言を見てみようかななんて方が増えるといいなと思います。かく言う僕もその一人なのですけどね。

 最後になりましたが「打ち交わす」にご来場くださいましたたくさんの皆様に、心より感謝申し上げます。そしてGONNAとして最後の演奏になった賢ちゃん、これからもお互いに頑張っていこうね。

大鼓に関しましてはまだまだ勉強不足で、言葉使いや名称に過ちがあるかもしれません。今後の勉強のためにも、もし間違いに気付かれた方には訂正、ご指導いただきたく思います。宜しくお願い致します。                             

さだいち