10年以上前の話になりますが

勤務先の大学のオフィスにいた時

私のクラスの学生から

電話がかかってきました。

 

 

「小春先生、今、キャンパスで英語が全然できない日本人に会いました。その子が困っているようなんですが、今からオフィスに連れて行ってもいいですか」

 

 

とのこと。

一応OKをしましたが、

ちょっと嫌な予感が…真顔

 

 

連れてこられた日本人は

ヤンチャしてきたんだろうな~

と思わせる20歳前後の男の子でした。

 

 

指差しどしたの?

 

 

と聞くと

 

 

俺、アメリカに留学したいんす。

日本でうだうだ言ってても

しょーがないんで

取りあえず来てみました。

 

日本にいると

英語をまず習得しなきゃとか

金を準備しなきゃとかで

あれもできない

これもできないって言われて

じゃあ何にもできなくね?

とか思って

 

 

それじゃあ俺、

今からアメリカ行ってやるよ

みたいな感じで、来たんす。

 

 

どうやら英語も話せないまま

身一つでアメリカに飛び込んできた模様。

 

 

指差しアメリカは可能性に満ちた国。

やる気さえあれば誰でも

受け入れてくれるから

頑張ってね目キラキラ

 

 

なんて言うわけ

ねぇだろパー

(言葉遣い)

 

と即思った私。

 

 

この手の人間は結局

助けてくれる相手を探し

困ったことは

全力で丸投げする

傾向に、ある。

 

 

甘ったれてんじゃないよ

 

 

 

と言うのが

私の正直な感想でした。

 

 

もちろんそんなことは言いませんでしたが

私の連絡先を渡すようなことも

しませんでした。

 

 

その後

私よりも数倍優しい私の学生が

大学のキャンパスを案内して

あげたようです。

 

 

確かに行動力って大事だと思うんですけど

海外移住は多大なリスクが伴うものです。

 

 

そこに飛び込みたいんだったら

徹底的に計画を練って

日本を出る前から

その計画を実行すべきだと思います。

 

 

たまに

「自分は何も考えずに日本を飛び出した」

とか言って結果オーライだった話を聞きますが

そんなのはいたとしても一部の人間だけパー



その背後には

さんざん辛酸を舐めて帰国したり

帰国したくても、もう帰る場所がなかったり

命さえ落としたりした人達の

砕け散った夢が死屍累々と存在することも

現実問題として私は知ってもらいたい。

 

 

現在はSNSで

アメリカに限らず

海外でのキラキラ生活を

実況している人たちをよく見ます。

私はそう言うの、申し訳ないけど

無責任だな~と思ってしまう。

 

 

対照的に、海外で夢破れた人達は

あまりそのことを

語りたくないでしょうから

一般の人々がそういう話を

聞く機会もあまりないでしょう。

 

 

あの、英語もできずに

キャンパスをさまよっていた男の子は

今では30を超えたおっさん。

どこで何してんのかな~

なんてたまに思い出すのです。

 

 

 

 

 

↓今だったらキャンセルカルチャーの

槍玉にあげられそうな曲ですが

「色々な所に行って色々なものを見たけど

結局自分には辿りつけなかった」

と言う歌詞には重みがあります。