まだ足腰の強さに自信があった頃

私は全米でも有数の

治安の悪い場所に住んでいました。

理由は簡単で

安かったから。

 

大学教員の初任給は

この給料で暮らしていけんの?

と焦るほど少ないことが、多い。

 

 

それから徐々に上がって

何とか人並みの生活はできるようになるのですがそこまでの道のりが、長すぎ・・・。

 

と言う愚痴は置いといてパー

 

 

カリフォルニアの物価は当時から高かったので

新築の一軒家で

陽が燦燦と差し込む吹き抜けがあり

バスルームが二つもある家に住めることを

この上もなく贅沢に感じたものです。

外に出なければ笑い泣き

という補足付きですが…。

 

 

毎朝暗いうちから

最寄りの駅まで歩いて通勤していたので

よく恐ろしい目に遭わなかったな…

と今は思います絶望

 

 

ある日同僚が

 

ここって小春が住んでいる町でしょう?

 

とご丁寧に切り抜いた新聞記事を

見せてくれたことがありました。

 

 

アジア系のおじいさんが道端で

何の理由もなく、突如若者に殴られて

死亡したという内容。

 

結構広い町なので

ふーん…可哀そうに…

とだけ思った私。

その日、駅から帰り道

道端にお花がたくさん添えてあり

記事のおじいさんは

正にそこで亡くなっていたことがわかって

ゾッとした滝汗

そんなこともありました。

 

その最寄駅自体

私が引っ越す一年ほど前

警察官とギャングの銃撃戦があり

警察官4,5名が命を落としたという

壮絶な事件があったという、、、

 

でも当時は

何かあってもすぐ逃げられる!

みたいな根拠不明な自信があったし

また本当にお金がなかったので

自分もその街に溶け込んでいる

というような感覚もありました。

 

実際に住んでみると

当たり前ですが普通の人も住んでいるわけで

人情が厚い人もたくさんいて、結構快適でした。

下町に住むような感覚といったら

いいでしょうか・・・。

 

その街を去った後

本当に色々なことが起こりました。

 

白人優位を謳う人物が大統領に選ばれ

パンデミックがあり

アジア系へのヘイトクライムが増加し・・・

 

 

そして私自身も歳をとり

何かあったら逃げ切れる!

と言う自信は影を潜め

今では突如殴られて亡くなってしまった

あのおじいさんに

明日は我が身、と

自分の身を重ねるようになりました。

 

 

若いからできる事って

色々あると思うのですが

私にとって真っ先に思うのは

アメリカのあの「下町」で過ごした経験

なのです。

 

おかげさまで

逞しくなりました。