私には幼児期に多大な影響を受けた、Aという従姉がいました。一回り上の彼女は口から生まれたのではないかという程、口が達者で、私は幾度もやり込められ、悔しい思いをしたものです。
その後、口喧嘩に滅法強くなったのは、ひとえに彼女のおかげだと思っています。(何の自慢)
そんなAですが、口は禍の元とはよくいったもので、口が立つが故に学生時代も社会人になってからも『女の争い』に巻き込まれることが、多かった。
当時、Aは派遣社員として会社から会社を渡り歩いていました。そして新しい会社に派遣された時に、争いから遠ざかるため、ある決心をしたそうです。
それは、
上品でお茶目な女
のキャラを装うこと。
上品な女を演じれば、多少無口でも争いから一歩退いたところにいられる。ただ、それだけでは「お高くとまっている」と嫌われるかもしれないので、程よく「お茶目ぶり」をアピールして、フォローしようという計画。
なんだかこれを聞いただけで、既に破綻の兆しを感じた私
でも実際にお嬢様と呼ばれてもおかしくない家庭環境も手伝って、3、4か月の間で「Aは育ちがいいお嬢様」というイメージを周りに植え付けるのに成功しました
。
ただ、「お茶目ぶり」をアピールする機会が、あまり、なかった
このままでは何か嫉妬や反感をかってしまうかも・・と危惧していたところに、女性社員の中心グループ(そんなのあるのか)から、ランチのお誘いがかかりました。
これはお茶目ぶりを印象付ける絶好のチャンス とランチに挑んだA。
会話は和やかに進み、リーダー格の女性から
で、Aさんの彼氏は
どんな人なのぉ?
とちょっと立ち入った事を聞かれたそうです。
Aが当時付き合っていた彼氏は、身長190センチぐらいはある、恰幅のいい男性でした。この『デカい』という特徴を、可愛らしく「お茶目に」伝えようと思いついたA。
「可愛らしくお茶目に」というのは
例えば、
背が高いを「ノッポちゃん」
とか
背が低いを「おちびーぬ」
とか、
太っているを「おデブチン」
など。
そして、『デカい』の言い換えとして、Aの口から咄嗟に出た言葉は、
私の彼ね、
おデカチン、
なの。
しまった
と思っても、時すでに遅し。
や、、あの
、
ちょっとかわいく言おうと思っただけでね
そんな意味じゃあなくって
慌てて弁解したものの、女性グループ
の目に一斉に灯った意地悪な光
を消すことは、できなかった。
その後、派遣期間が終了するまでの1年間近く、陰では『デカチンの女』と呼ばれ続けたと、Aは『上品でお茶目な女』が迎えた終焉について、遠い目をして語ってくれたのでした。
最後の最後に「本当の話だったらまだ救われたんだけどね~」などと(いらない)オチまでつけるA。
私は『上品でお茶目な女』なんかより、こっちのキャラの方がよっぽど良いのに…と、自分らしく生きることの難しさを感じたものです。
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これ、何の話?