親父の骨をつまんできました。

爺さん婆さんは共に没、残る残機は母親のみ。


父親方の爺婆は小さな頃にはもう居なくて

母方には海外行かないと会えなくて

母親は小学生の時逮捕されるわ、父親はアル中DVだわで 碌な教育も受けず、当たり前の様にグレました。


勿論、育ててくれた記憶ってものはあるので

ボロ泣きはしましたけど。

いつも追っかけてたのは50メートルは離れてるであろう大きな背中でした。

いつも置いてかれて、押し入れに閉じ込められて

道路の真ん中で引くくらいボコボコにされて

今でも誰かにお願いする時はちょっと身構えます。



甘え下手って奴です。



ほぼ縁は切っていた関係だし

早く死んでしまえと思ってた。

だから最後は死が怖くなるくらい

飯行ったり、子供を抱きしめさせてきた。



あんなに「早く死にたい」

って言ってたけどめちゃくちゃ

死ぬの怖かっただろ?ザマァねぇなぁ。

ちゃんと息子を大切にしてたら

この嬉しさをもっと享受出来てただろうよ。






惜しかったな。あともう2日生きてたら

次も飯だったのに。

無駄にタバコも2日分くらい買ってあんのに

約束すら守れないなんて体たらくだろ。

ちょっと力入れたら2日くらいは行けただろ?

気合いが足りねぇよ。






君が子供にしてきた愛の不平等って奴は

反面教師としてぼくの代で途絶えさせて貰う。


まさか君の長男坊が

最後こんな悲しむとも思ってなかったろうに

人とは優しいものだな。

来世では肝に命じて

俺の子としてまた出てきていいよ。



どうせ酒とタバコの煙で霞んでしまうような

しょうもない人生だったんだろうよ。

虫になる前にもう一回くらいは

人間になるチャンスを貰えるんじゃない?





遺骨を前にタバコを吸いながら

ほな帰るわって火を消すと

変えたばかりの電気が消えた。

肉体が消えて魂になってからの

アピールがメンヘラでキモいぞ。



良かったな。意外に人集まったぞ。

あんたじゃなくて弟の人柄だよ。間違いなく。






しばらくこの家に戻る理由も無くなったな。

もう戻る事なく、取り壊されるだろうよ。

ちょっと寂しいね。それは。

胸がバクバクしてるよ。



女と別れ話をしてさよならする前と似てる。

でもなんだかんだ数ヶ月したら忘れるだろう。





とは言えこの感情を文字にしないのは

勿体無いからまとめる。

お疲れ様。育ててくれてありがとう。

ワガママを言うのであればもう少し頑張って欲しかった。苦しかったのは分かるけどさ。

君さ、子供と内緒の約束してたよね。

楽しみにしてたみたいで残念がってたよ。


俺は悪いなんて一切思ってないから。

ガキの頃何回警察に迎えに来てもらったかは

最早覚えてないけど。


20年くらい一緒に住んでたけど

結局あんたの事全然分からなかった。

優しいのか、ポンコツなのかマジで分からない。

結構人間を理解出来るタイプなのに

弟はあんたの事理解してただろうけど

俺にはサッパリだったわ。



もう会えんのか。残念だわ。理解もさせてくれん。

まぁ、72年お疲れさん。 


子供が出来て、そして早速親を失って

感じる事が出来る色んな気持ちを

早めに味合わえた思ったのなら

プラスに捉えれるよ。

あんたが消えたと同時に子供がより可愛くて

仕方ないもんな。


罪悪感があるのであれば

せめて守護霊になってくれよな。

間違ってでも呪縛霊にはならんでくれ

もし取り憑くのならあんたが大好きな次男坊に

してくれ。






疲れた。本当に。

明日休みたい。






みんなも同じ気持ちを味わうんだね。

そんなに好きでも無い父親でも

こうもダメージ食うのであれば

みんなはどれだけ悲しむの?

想像しただけで人に優しくなれるわ。

僕の人生も半分くらい終わった。

せっかく会えたのなら

もう芸能も辞めてるし、もっとみんなと

交流していけたらなって思った。




これからもよろしく。

気軽にDMしてきて。

寝るね。本当疲れてて笑

おやすみ。





お前もな。親父。おやすみ。





題名 ウルトラマン

作 鈴木勤

演 鈴木啓三郎