いよいよ最後のまとめです。
お褒めいただいたので、最後まで・・・・・
では次に、介護者の方に答えてもらったインタビュー結果を見てみよう。
① 音楽療法を取り入れて変わったことはありますか。
A.患者さんの表情が豊かになり、笑顔が増えた。
② 音楽療法の良いところはどんなところだと思いますか。
A.精神面でのフォローや運動面でのプラス面が大きいこと。認知症の方々のケアが出来る。
③ 患者の方に変化が現れた理由は何だと思いますか。
A.療法時の雰囲気が良く、音が刺激となり、心や体に響きわたり効果を表わすと思う。
④ 患者の方に効果が現れなかった理由は何だと思いますか。
A.寝たきりの方は療法に参加するのは難しい。その他に、認知症が重度の方は音楽に無関心の方もいるからだと思う。
では、次に介護者が音楽療法の効果が現れたと判断した患者さん9名へのインタビュー結果を見ていこうと思う。
患者さんは認知症などの病気を持っているため、上手く話せない、質問に答えるのは難しいということが分かり、介護者が問いかけ患者さんがうなずくといった方法で答えてもらった方と認知がはっきりした方にはきちんとした意見をもらった。
① 音楽コンサートは楽しいですか。
A.とても楽しい(9名)
② 音楽コンサートの何が好きですか。
A.私自身も楽器を演奏出来たりするところが良い。オルガンの音が好き。曲が自分達の年代に合っていて分かりやすいし、楽しい。
③ コンサートを受け始めて、あなた自身が変わったなと思ったことはありますか。それは何だと思いますか。
A. ・体操や体を動かすのが好きになった。(6人)
・人と会話が好きになった。(6人)
・歌が好きになった。(8人)
・気分がよくなった。(9人)
④ 音楽は好きですか。
A.好きです。(9人)
アンケート・インタビュー以外に施設側に、音楽療法の効果を現れた方の個人情報を聞いた。なぜならば、音楽療法を受ける患者さんは病気が同じで、同じ効果が表れるわけでわない。人それぞれ異なる効果が現れると思うので、どのような患者さんに効果が現れるのか調べようと思ったからである。
A施設
・Y・Hさん 88歳・男性 病名:認知症
効果が現れ始めたのは、療法を受け始めて2ヶ月後である。
この患者さんは、療法中でも車椅子で徘徊することが多く、とても落ち着きがなかった。だが、太鼓を持たせて教えることによって徘徊することがなくなり太鼓という楽器に集中するようになり、落ち着きが出てきた。そして、太鼓を叩けるという感動のあまり涙をよく流すという行動が、よく見られる。
・U・Kさん 93歳 女性 病名:アルツハイマー病
効果の現れは、1年後である。
この患者さんは落ち着きがなく攻撃的で一人でいる時間が好きだった。療法を受け始めて効果が現れ始めたのは太鼓を持たせてからである。それからは、精神的に落ち着くようになりコミュニケーションがとれるようになった。介護者の問いかけにも答えるようになった。
C施設
・S・Kさん 71歳 女性 病名:統合失調症
この患者さんは、療法には気分不良の時にも必ず療法に参加し、終了後には笑顔が戻る。
本人へのインタビューでは、会話が好きになり、歌も好き、そして気分が良くなり、療法時の雰囲気が良いと答えてくれた。
・H・Nさん 69歳 女性 病名:統合失調症
療法時は、無表情ながらも手等は使う。本人のインタビューでは、コンサートは楽しくオルガンが好き。体を動かすのが好きだが、人と会話することは苦手である。そして、歌を聴いたりするのは良いが音楽はあまり好きではない。これからもコンサートに参加してくれるかという質問には、あまり参加したくないという答えが返ってきた。
・K・Uさん 病名:脳梗塞
この患者さんは寝たきりの状態で体を動かすことが難しい方だが、コンサートには参加し日常では発言はないがコンサートでは声を出して歌う。
・S・Yさん 病名:老年期認知症
この患者さんも寝たきりの状態で体を動かすことが難しい方だが、コンサートには参加する。療法で使用する太鼓の音に恐怖感がある。
インタビューを終えて・・・
私が施設訪問させてもらい失敗したなと思ったことは、インタビュー時に患者さんに対してのインタビューの質問の内容が難しすぎて患者さん本人に上手く伝わらず、介護者がその質問を分かりやすく患者さんに伝えてくれたことだ。そのことから、インタビューを行う時は、相手のことを考え、答えやすいように質問を工夫し考える必要がある。そして、その質問を伝えるときも相手の目を見て、ゆっくり話すという基本的なことを身につけなければならない。
Ⅳ.結論
・考察
施設側へのアンケート結果からは音楽療法を受けた患者さんに精神面・身体面に効果がみられていることが分かる。精神面の効果として、笑顔になる・表情が豊かになる・気分がよくなるなどが多数を占めていた。
身体面の効果として、歌を歌うようになる・手や足を動かすなどが半数以上みられた。また、内服薬の量を減らすことが出来た。患者さんも少人数いた。患者さんがもつ病気を治すことは出来ないが、病気を治す補助をすることはできている。日常生活で必要な動作(会話をする、食事をするなど)の維持・改善が出来ていると考えられる。
患者さんへのインタビューからは、音楽を好きになった、気分がよくなったという答えが精神面へ好影響があらわれていることが分かる。
このような仮説検証を行った結果、私が立てた仮説「音楽療法を受けることにより、心身の維持・改善が出来る」は検証できた。
・改善点
仮説検証をしていくうちに、問題点が二点生じた。一点目は、音楽療法に参加している患者さんの中には、音楽が好きという人もいれば音楽が嫌い、耳障りと言う人も数人いた。そのような患者さんの心を動かし音楽を楽しんでもらう為の改善点として、療法師が患者さんの意見を施設側から収集し、その結果をもとに音楽の場や音楽を作り出す必要がある。
二点目は、音楽療法はグループ音楽療法で行われていることが多い。大人数で行うことにより効果が表れる人もいる。だが、グループだと一人一人の動作や表情がきちんと見ることが出来ず、見逃してしまうこともある。私が考える改善点として、現在一つの施設により月一度の音楽療法だが月に二・三回の療法に増やし、一回の療法に参加する人数を決める。月に二・三回あるのでどの人がこの日に参加するなど詳しいことを決め、患者さんの心身の状態の変化を見るようにすることで音楽療法の効果が現れる患者さんの人数は増加すると思われる。
音楽療法のジャンルは、音の質などを選んでいくことで効果が得られている。そのため、たくさんのジャンルの曲を常にマスターしていくことが必要である。また、効果を上昇させるために患者さんの機能レベルを観察する目を養っていくことも必要である。
・研究を終えて
一年間研究を進めてきて、初めはテーマを考え、仮説を立てるという工程でつまずき、そこでかなりの時間を取ってしまった。そしてフィールドワークを行う時も準備が不十分な状態で訪問した為、もう一度訪問させてもらうという迷惑な行動を取ってしまった。初めからきちんと計画を立て行動していればこの研究も早めに完成していただろう。時間はかかったが、この一年間の集大成がこの論文である。音楽療法師、施設の介護者さん、そして患者さんにはとてもお世話になり、感謝の気持ちでいっぱいである。本当にありがとうございました。この論文を読んで下さった方が最終的に音楽療法という職業に興味を持ってもらえると一番嬉しい。一年間大変だったが、とても充実しており、今となっては論文を書けて本当に良かったと思う。将来看護師という職業についた時に、今回の論文作成で学んだことを生かし、スタッフの方々と協力し、患者さんに接していきたいと思う。
・参考文献
・元気のでる音楽療法
~音楽療法へのご招待~
・心にとどく高齢者の音楽療法
・ミュージック・セラピスト・ハンドブック