カメラがモタラシタモノ 11-11 | 和楽衣生活

カメラがモタラシタモノ 11-11

 「それより今日は暑いわね。地軸がズレて日本が赤道になってんじゃないでしょうね。」

 んなわけあるか、ってかくだらない事を思いつくな。お前が言うと本当になるんじゃないかって思っちまうから。

 「とわ言え、確かに今日は暑いな…」

 「キョン、下でジュースでも買ってきて全員分。もちろん、あんたのおごりで。」

 「なんでだよ。」

 「遅刻と逃げようとした罰と有希も喉が渇いたって~☆」

 長門は何も言ってないだろうが!とは言うもののココでハルヒにへそを曲げられて旅行に行くとか言い出したら叶わないからな。それに今日は俺にとって最高の日だからな、今日はハルヒの言うことを聞いておくさ。・・・『今日もの間違いだろ』なんてツッコミ入れんなよ。

 「分かったよ、んで何がいいんだ?」

 「あたしはオレンジ。炭酸のヤツね。」

 「お言葉に甘えて、わたしはりんごジュースを」

 「僕はアイスオーレをお願いしましょうか。」

 「あたしもいいのかい?なら抹茶オーレ。アイスで!」

 みんながそれぞれ希望のジュースを口にし、後は長門だけだったが何か言おうとして思いとどまった。

 「長門は何がいいんだ?」

 「それじゃオレンジジュース。100%の…」

 一応みんなのご希望をメモ帳に書き俺は「なら、ちょっと行ってくる」と部室を後にした。

 「はあぁぁぁ、それにしてもキョンのどこが良かったのよ有希~…」

 ハルヒは片肘をついて長門を見ながら、呟いた。

 それに対して長門は「全部」と答える。

 次に「いつから好きだったのよ。」と言うと、長門は「彼が部室に来た時から」と平然と答える。

 「有希、恥ずかしいとか照れるとかいうのは無いの?」

 「無い。」

 長門は何故と言わんばかりに首を傾げる。

 「あっ、そっ。」

 ハルヒは質問するのが馬鹿らしくなったのか、団長机にうっ伏した。

 「まったく、素直というか、馬鹿正直というか…キョン、有希を泣かしたら本当に許さないんだから。」

 長門はハルヒとの会話の後、部室の扉をじっと見つめていたが、おもむろに席を立ち扉を開けた。

 「有希…どこに行くの?」

 「ちょっと…トイレ。」

 「いってらっしゃい。キョンに早く戻るように言ってね。」

 「わかった。」

 そう言うと長門はいそいそと部室を出て行った。

 「・・・・・」

 「やっぱり長門さんは嘘がつけないみたいですね(クスクス)」

 「そのようですね。」

 「いいわよ、有希らしくって。」

 キョンと長門が居なくなった部室でSOS団メンバーは扉を見て幸せそうに微笑んでいた。 


 「待って…」

 「おう、長門。一緒に来てくれんのか。」

 「行く。」

 「サンキュー。ところで今度の撮影旅行の場所なんだがな…」

 「うん…」

 「……」

 「…」


 鶴屋さんが、後ろに手を組みぴょんぴょんと楽しげに歩いてくるとハルヒに顔を近づけて話しかけてきた。

 「ハルにゃん、ハルにゃん、さっきのの話なんだけどさ…」



~Fin~