先日の事、渓流釣の師匠ロジャーさんと昼食をご一緒させて頂きました。
メニューは名古屋名物あんかけスパゲティーです。
世の中じゃカルボラーナがどうだのポモドーロがどうしただのたわけた事を
ぬかしていますが、ここ名古屋じゃ、スパゲッティーと言えばあんかけです。
あんかけスパはうどんの様に太い麺を玉ねぎピーマン、そして絶滅危惧種に
指定されている赤ウィンナーと一緒に炒め、胡椒のピリッと効いたとろみのある
トマトソースをデロデロと掛けたミラカン を基本とした食べ物ですが、バリエーション
として上の写真の様に、これを鉄板で作り、仕上げに溶きたまごを流し込む豪華な
物もあります。
しかしこれは給料日直後か余程の上流階級でなければ食する事は出来ません。
そのあんかけパスタをズルズルと豪快な音を立てて啜りながらロジャー師匠が
言います。
「わしはよ。オフロードも１台買うてみようかと思うとるんだわ」
「あっ、いいんじゃないですか」
私は勢いよく啜られた麺から飛び散った赤いソースの飛沫をどす黒く日焼けした
顔中に散らした師匠から目をそらし、そう答えました。
師匠は大変な資産家で今も隼、1400GTR、バンディッドと3台のバイクを所有して
います。
初めてお会いした時はすごく日焼けしていらっしゃるので、お仕事は交通整理だと
勝手に思っていましたが、だいぶ経ってからプロのテニス選手だと知りました。
ロジャー師匠の話は続きます
「ほんでよ。おみゃ～さん、今度の土曜日BMWのディーラーに付き合ってくれん
かいの？わしゃ、ドイツ語分からんし」
どうやらドイツ車のディーラーだと店員もドイツ人だと思っているらしいです....
「もちろんいいですよ」
私はそう答え、目の前の伝票をサラダのスイートコーンをフォークに刺すのに
夢中になっている師匠の前にそっと押しやりました....
「ところで師匠は何を買われるのですか？やはり1200GS？」
「それなんだがよ。軽いのがええでG650のタルセオがええんじゃにゃ～かと
思っとるだわ」
G650セルタオは今年6月に発売されたG６５０GSのサスストロークを増し、
サンプガードやハンドガードを追加して悪路走破性を高めたモデルです。
「で、試乗車はどこに有るんですか？」
「まぁ、ええて、土曜日来ればわかるでよ」
師匠は食べ終わったあんかけスパゲティーの皿を両手で抱え、残ったソースを
ベロベロと舐め回しながらそう答えるのでした。
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