ゴミ -3ページ目

さようなら。

あの頃、僕らは少年だった。

午前中に降った雨はくぼみに水たまりを作り、
平らな場所では太陽に蒸発されアスファルトは、
焼けるにおいを乗せた湯気を放っていた。

僕らはナイロン製の財布に小銭を入れて
ただひたすらに何かを追いかけ、追いかけられて走りまわっていた。

ボールだったり
泥棒だったり
警察だったり
ジャンケンに勝った者だったり
ジャンケンに負けた者だったり
綺麗な羽の蝶々だったり
強そうな昆虫だったり
鳩や猫や犬だったり


青年になった僕らといえば、

時間やお金、
他人に恋人、
仕事に学校、
家事や退屈、

ただひたすらに、
そしてなにかしらに追いかけられ、
追いかけて走りまわっている。

叶わない夢や
逃したチャンス
淡い現実と
リアルな嘘


蝶々が全て綺麗だとは限らない。
時には蛾をも捕まえないと大人になれないと僕たちは気づき、
再び雨が降り始めた。