昨日(7/11)の毎日新聞夕刊に連載中の「参院選2019 選挙のまめちしき」。

タイトル通り、参院選を前にして、候補者の主張や勢力などではなく、選挙に関する「知ってそうで知らない」事柄の解説で、サブタイトル「『美声』響かせる車上運動員」とあるように、応援車で支援を呼び掛ける人について。

冒頭「選挙スタッフは原則的にボランティアが務めている」くらいは知っている。

例外として「報酬の支払いが認められる」のは、公職選挙法で定められた4つの場合に限られ、その1つが「車上運動員」なのだそうだ。

車上運動員と言われてもピンとこないが、「(車内から)笑顔で手を振りながら投票を呼びかける」、選挙ではお馴染みの人たちのこと。

「(女性スタッフは)美しい鳴き声の野鳥に例えられ『ウグイス』と呼ばれている」そうだが、選挙に限らず、野球の試合で選手名などをアナウンスする人を、一般的に「ウグイス嬢」と呼ぶように、特に珍しくない。

興味があったのは、やはりその報酬。

ある国会議員事務所のスタッフによれば、車上運動員に求められる条件は「有権者の様子に応じて、臨機応変なしゃべりが出来る人」というが、実際にこれが出来る人は、そう多くはいないのが実情だろう。

だからといって「フリーアナウンサー」のような『プロ』を雇うとしたら、一般的な相場なら十万以上は当然だろうが、公職選挙法では「1万5000円以内」と定められているという。

先のスタッフが「ツテがないと、1日1万5000円で『プロ』には頼めない」と言ってるが、それはそうだろう。

実際にやってみれば、誰でも分かると思うが、マイクを使うとはいえ、一日中、声を張り上げてしゃべり続けたら、よほど声帯の頑健な人でなければ、翌日に声が出なくなる。

「昨日、カラオケで歌いすぎて声がガラガラだ」みたいな話はよく聞くが、しゃがれ声やかすれ声でも出ればマシなほうで、それ以上に酷使したら、いくら出そうとしても文字通り声が出なくなる。

ソプラニスタの岡本知高氏は、コンサート終了後、ロビーで客を見送るが、話しかけられても笑顔で応じて(声帯を休めるため)声は一切出さないという。

それらを考えたら、1日1万5000円以内という決まりは、安すぎると思う。

声を出す仕事をなめんなよ。