「キヤノン 12月期予想を下方修正」という新聞記事(7/27付・毎日新聞)。

この中で、業績予想の下方修正の理由の一つとして「デジタルカメラ市場全体の縮小に加え、普及価格帯のカメラの性能が向上したことで高級機種の伸びが鈍化している」を挙げている。

まあ、それは分かる。

カメラ業界は、どこも似たようなもんだろう。

ただ、カメラ事業の減収傾向に歯止めをかけるために、田中稔三副社長が打ち出した方策が「下期にミラーレスカメラの最高級機種を出す」というのが理解できない。

たしかに、いわゆる「一眼カメラ」は、昔からの「一眼レフ」を追い越す勢いで「ミラーレス一眼」が売れているのは事実だろう。

しかも、こう言ってはなんだが、ミラーレス一眼の分野で先頭グループにいるのは、(デジタル)一眼レフが振るわなかったゆえに、いち早くミラーレスを中心に舵を切った、オリンパス、ソニー、パナソニックが飛び抜けていて、はっきり言ってキヤノンは出遅れ組だ。

その点では、ニコンも同じだ。

なまじ「一眼レフ」で圧倒的強者だったから、ミラーレスへの参入には、当初は消極的だった。

穿った見方をすれば「しょせんミラーレスは、一眼レフより下の存在」と考えていたのかもしれない。

しかし、ミラーレスが予想以上に早いペースで普及し始めると共に、性能面でも著しく向上して「一眼レフへの拘り」が無意味となって、慌てて出したのかもしれないが、ミラーレスの「EOSーM」シリーズの初期型は、同時期の、例えばオリンパスやパナソニック製品と比較して、性能・機能面で明らかに負けていた。

最新機種でこそ、キヤノン自慢の「デュアルピクセルAF」採用でAF高速化や、DIGICの能力向上などで性能面で追い付いたけれど、早くから他社のミラーレスに転向したユーザーは、そう簡単には戻らない。

特に一眼はフィルム時代からの事だけれど、「交換レンズ」をある程度、揃えてしまったら、それを捨てて他社へ乗り換えるのは、相当大きな魅力が無ければ無理。

個人的には、今のキヤノンのミラーレスに、それだけの魅力があると思えない。

一方、オリンパスの「OMーD Mー1(Mark2も含め)」など、プロがミラーレスを実用し始め、勢力図が全く変わった。

そこに、たとえキヤノン・ブランドだとしても「最高級機種」を投入したところで、売れるとは思えないのだけど。