数年前まで、
仕事と不妊治療に通う日々を過ごしていた。
何年も、何年も。

治療は1か月分のスケジュールをくれるわけではないので、

次はこの日にきてねと言われ
仕事が入ってたら、
お願いして交換してもらい
何度も頭を下げてスケジュールを確保する。

休みなんて月に一度あればいいほうだった。

今思うと、あんな日々をよく過ごせたな
よくこなしたなと思う。

頭はいつもスケジュール調整でいっぱいだった。

職場には、
普通に子供を授かった人しかいなかったので、
不妊治療のことは話さなかったから、
しょっちゅうスケジュール変更を言い出す
迷惑な人!と思われていただろう。

実際、
あのこはうつ病なんじゃない?
なんて噂まで出ていた。

その時にショックと怒りで、
絶対治療のことは言わない!と心に決めた。

そんなやつらに言う必要はない。

風邪をひけば、
『妊娠したんじゃない?』
と必ず聞いてくる。

早く妊娠して、こんな職場やめてやる
と思っていた。

あの当時に戻れるなら、
やり直したいことがひとつだけある。

それは仕事をやめて、
治療だけに専念したかった。

当時は、辞めてしまって、
もし子供ができなかったら、
また就職先を見つけられる自信がなかったからだ。

私は人生で後悔しているのは、
ここ。

未だに、この部分が
胸をチクチクさしてくる。


いや、ちっちゃな後悔は他にもあるけど、
本当に人生がやり直せるなら、
仕事をやめる。

治療は恐ろしいほど、
気力も体力も奪う。

涙もいつからか出なくなって、
ただ突き進むのみ。

落ち込んだり、休む暇はない。

ダメなら一からまたやり直すだけ。

地獄の日々の繰り返しだ。

子どもが出来ていれば
これはただの
いい思い出
となっていただろう。

そして最後のほうは、
もう、何のためにがんばってるのかもわからなくなってくる。

芸能人の妊娠ですら
とても気になっていた。

今でも高齢出産のニュースを聞けば
あきらめるのは早かったのか?
と自分に問う。

最後は、
義理の両親に許してもらうために
ただ、それだけだった。

もし義理の両親から
『子どもができなくても、二人が元気なら幸せだよ』
なんて、いってもらえてたら
どんなに救われただろう。

そして、

貴方の努力が足りなかったのでは?
全力を出しきったのかと

聞かれたら
何の躊躇もなく、

私は全力でやりました

と答えられる。


そのために
持っている全てを出しきったから。

ある人にその話をしたら、
もう過去だから忘れては?
と言われた。

過去は変えられないしと。

そう、その通り過去です。
だけど、私が体験したこと。

胸に刻まれた
過去
だからなかなか消えないのでは?

母親になることが、将来の夢

だったから、まだ苦しいのでは?

他人にはわからないものだ。