今月はもう
ポランスキー月間と言っても過言ではないくらい
『袋小路』
『反撥』
『チャイナタウン』など
他にも観ているのですが
今回は
『おとなのけんか』です
原題は『CARNAGE』
殺戮とか虐殺という意味
子供の喧嘩に端を発して
良識あるはずの二組の両親が話し合うが
おとなのけんかになっていく
コメディー映画
どこにでもいそうな
四人の親たちは
顔には出さないものの
のっけから
端々に刺のある言葉を使い
ちょっとした
言葉のあやから
その仮面が剥がれていく
ポランスキー監督らしい
家の中という
ひとつのシチュエーションで
キャラクター心理をうまく転がして
物語を構成している
決して狂ったキャラは登場しない
だから
共感できる部分
身近に感じる部分が多くて面白い
セリフのひとつひとつが巧みで
妻が言い過ぎ
夫がフォローすると
その言葉に噛みつく妻に
もうひと組の妻が賛同したり
父親同士だから分かりあえる
男の子の感情があったり
四人がそれぞれ
いい所と悪い所を出して
優位性が転がるように変化していく
圧巻は言葉のキレ
言葉に複線を張り巡らせ
キャラの性格も表し
細部をうまく積み重ね
気持ちのよいテンポで
だんだん勢いを増していく言葉たち
四つどもえの泥沼喧嘩は
まさに言葉の殺戮です
喧嘩になること自体
様々な要因があるわけで
どっちが悪いというのでもなく
子供の喧嘩に親がしゃしゃり出るのは
やっぱりよくないのでしょうね