ホーリー・モーターズ | gomaora creative room

gomaora creative room

gomaora (ゴマオラ)…
映画、写真、音楽、小説、舞台、etc、
各分野でクリエイティブな活動をする
人をつないでひとつの輪を成す創作チーム

レオス・カラックス監督の最新作

『ホーリー・モーターズ』


gomaora creative room-holy01

この映画を説明するのはとても難しい

正直、一度観ただけでは

いまいち理解できませんでした


劇中劇というのが近いかもしれません

主人公のオスカーは

まずは富豪の銀行家として

リムジンに乗って仕事に出掛ける


そのリムジンの中では

次のアポに合わせてメイクと扮装をする


ある時は物乞いの女を演じ

またある時は怪物メルド

gomaora creative room-holy02
アコーディオン奏者や

殺人者

そして父親など

それぞれの役を

人生を演じていくオスカーの1日の物語


もちろん

ストーリーの中で

変装する姿が描かれているのに

それぞれ違う人物として受け入れられていく


虚構の中の虚構が真実として描かれ

どれもが本物のオスカーであり

偽物のようでもあり

全て夢なんじゃないか

と思うような不思議な体験


監督曰く

この映画の出発点は

「自分自身であることの疲労」

「新たに自分を作り出す必要」

という相反する二つの感情を描くところだそうです


例えば

父親を演じているとき

嘘をつく十代の娘に対して

父「バレないと思ったらまた噓をつくか?」

娘「たぶんそうする」

父「なぜだ」

娘「その方が幸せだから」

その言葉に失望する父

娘「私は罰を受ける?」

父「そうだ。お前の罰は、お前がお前として生きることだ」


素敵なシーンのひとつ

ですが

この父親役は

シレッと車で娘を迎えに行き

車中での1シーンのみ

娘を家まで送り

怒りのおさまらない父は

ひと周りして帰ると言ってまた車を出したところで娘と別れ

それも自然な展開で別れて

次の役に扮装替えをする

この展開に馴れるまでは

???

という感じですが


それぞれの役ごと

シチュエーションも描き方も違うけれど

物語の根底に

「愛」が描かれているあたり

レオス・カラックスらしい映画でした


オープニングに登場するのは

カラックス本人で

ある部屋で目覚め、扉を開けるとそこは劇場の中

そこから本編に入っていく演出からしても


監督の人生観というか

映画とは何か?

という問いに映画で答えた

ような映画

だったんじゃないでしょうか

gomaora creative room-holy03