さて、日本滞在中にいくつかの美術展に参りました。
ひとつは美術館ではなく、デパートの会場でした。その名も「浮世絵最強列伝 サンタフェ リー・ダークスコレクション」米国サンタフェ在住のリー・ダークス氏が2000年頃から特に感銘を受けた浮世絵版画を収集してきたものです。浮世絵史を代表する絵師たちの優品が揃い、保存状態の良さに加えて、初摺などの貴重な作品が含まれ、世界的に優れたコレクションと評価されているそうです。浮世絵の祖・菱川師宣、鈴木春信、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎や宇田川広重などの作品160点あまりが展示されていました。
以上はサイト(http://www.nikkei-events.jp/art/ukiyoe/)の受け売りですが、この展覧会 2月23日〜3月11日まで大阪高島屋で開催予定だそうです。
菱川師宣は、それまで単なる挿絵としての浮世絵版画を鑑賞に堪え得る独立した一枚の絵画作品にまで高めるという重要な役割を果たし、浮世絵の祖と呼ばれているそうです。代表作は「見返り美人図」で数々の春画も手掛けているそうです。
(画像は感謝してお借りしております)
出展されていたのは「衝立のかげ」(1679〜84年の作品)
(画像は感謝してお借りしております)
勿論、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」や歌川広重の「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」、などを始め有名絵師の作品を浮世絵史にそって初期から黄金期、幕末まで網羅しています。
160余点を見るのに、2時間ほどかかりました。眼も頭もかなり疲れました。 友人と行ったのですが、後で話すと彼女は日本タンポポを浮世絵の中に見、私は飛びあがる蛙を見ました。勿論、当時は西洋タンポポはまだ繁殖していなかったに違いないので当たり前かもしれません。昨今は日本タンポポを見る機会が減っていますね。
別の日に、三菱一号館美術館で開催されていたフィリップス・コレクション展に行きました。こちらも米国のダンカン・フィリップス氏が蒐集し、創立100周年を迎えた私立美術館が所蔵している世界有数の近代美術コレクション作品のうち75点を展示しています。19世紀の巨匠から印象派、印象派以降の絵画を牽引した巨匠の秀作が並びます。
私の好きなモネ・コロー・シスレー・ドガをはじめピカソ・ゴッホ・クレーなどワクワクする作品ばかりです。その展示の仕方が、この美術館の間取りとあっていて面白く楽しかったです。オーディオ・ガイドを聴きながら、ゆっくりと巡る近代美術の旅のようだったのではと思います。
興味のある方は以下をご覧ください。音声はありませんが、展示されている作品の一部と雰囲気を感じる事ができると思います。
丸の内とは思えませんよね。
10時に開場で、ゆっくり回ってお腹もすきました。すぐそばのブリック・スクエアで「京のおばんざい」をいただきました。せっかくの日本です、ちょっと贅沢かなと思いましたが美味しくいただきました。相席になった若いお嬢さんとの会話もステキな味付けでしたよ。おばさんは、ちりめん山椒ご飯をお代わりし堪能いたしました。
そうです。美術館半券を提示するとサービスでデザートが付いてきました。黒豆きな粉アイスクリーム、甘すぎず美味しくいただきました。
その後、品川へ向かいました。このピアノは自由に引いて良いそうです。つい最近ピアニストの清塚さんとバイオリニストのNAOTOさんが演奏されたと言うピアノです。
現代美術を中心に所蔵している原美術館に向かいました。この素敵な佇まいのこじんまりとした美術館は2020年12月に建物の老朽化により閉館するそうです。
目的は二つ、一つは開催中の「ソフィ カル 限局性激痛」を見るため、もう一つ者所蔵のエリザベス・ペイントさんの「YUZURU」と会うためでした。
この作品は、カル自身の失恋体験による痛みとその治癒を、写真と文章で作品化したものです。人生最悪の日までの出来事を最愛の人への手紙と写真とで綴った第1部と、その不幸話を他人に語り、代わりに相手の最も辛い経験を聞くことで、自身の心の傷を少しずつ癒していく第2部で構成されています。と説明されています。
繰り返されるカルの物語に対応して様々な悲しい辛い話が展示されています。共感するお話あり、何回も読み返すお話ありという内面を吐露する不思議な作品…と素人の私は感じました。
こちらが、中二階に静かに佇む「YUZURU」です。知識無しに入室した最初の部屋にいらしゃいました。柔らかい午後の光の中、立つ位置によって表情が変わる感じでしたよ。
(画像を感謝しておかりしております)
カルの作品を見終わって、今一度ご挨拶。彼もまた「限局性激痛」を知っている人なんだなあと思い、同時に展示されている事が不思議な巡りあいなのか意図したものなのかと考えさせられました。でも、そんな事考える人はいないのかとも思った次第です。
日本の滞在は楽しく忙しい…老母が元気でいてくれるので、美術館・美術展巡りもできる幸せを心から感謝。
長い長い滞在記にお付き合いくださり、感謝しております。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございます。