『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ著)のアトレーユが描きたくてイラスト勉強中です。Wordpressでイラスト成長記録を書いてきましたが、セキュリティ対策などブログ管理の負担を減らしたくて、こちらへ記事を引越ししています。

 

これまで描いた『はてしない物語』のイラストを整理しつつ、記事を引越し中です。

 

 

ホローク城2

 

 

『ホローク城2』
(2023年10月制作)

 

「バスチアン・バルタザール・ブックスを知らぬか?ここにお出ましだぞ!だが、サイーデに情けを乞うためにきたのではない。その方が自らの意思で捕虜を釈放するチャンスを、今一度だけ与えんがためにやってきた。これを条件に、その方の恥ずべき命だけは助けてやる!」

 

著者名:ミヒャエル・エンデ
著書名:はてしない物語

 

こちらのシーンを描きました。(ネタバレになりそうな箇所はカットして引用しています。)バスチアンがホローク城に潜入するため、アトレーユがバスチアンに扮して敵を引き付ける場面です。

 

 

前回、バスチアン中心のイラストを描いたので、今回は思いっきりアトレーユを描きたくなりました。アトレーユが登場する場面は沢山ありますが、ホローク城のアトレーユだけは唯一格好が違います。バスチアンに似た姿にするため、髪の毛をターバンのように巻き、バスチアンのマントを身に着けます。このシーンはなかなか想像がつかないので、私が描いてみたかった場面の1つです。

 

 

実は1年前にもこの場面を描きましたが、1年前よりもより魅力的にこのシーンを表現してみたいと思いました。それだけ『はてしない物語』を読んだ時にこのシーンをイラストで見てみたかったのです。

 

 

制作過程(色塗りまで)

 

 

簡単に下描きを2回描いて(割愛します)粗い鉛筆で線画を描きました。ホローク城は『目のある手』という別名があります。手の形をした塔に、目の形をした窓があるという描写があります。『はてしない物語』の挿絵では、人間のような目のある城が描かれていました。目のある模様の画像を検索したところ、竜の目の模様がとても格好良かったので、人間の目だけではなく竜の目も描いてみました。

 

 

また、いつも通り下塗りをした後にテクスチャ(中目の用紙)を追加しています。アナログのタッチや質感が好きなので、いつも中目の用紙を使っています。中目の用紙を使うようになってから、イラストがより自分の好みに近づいた気がします。

 

 

 

色塗りをして背景(空と月)を描きました。アトレーユとホローク城の色塗りは、いつも通り水彩ツール(透明水彩・不透明水彩)とエアブラシを使っています。ホローク城にはさらにテクスチャ(玉杢)を追加しています。背景は、エアブラシと粗い水彩、星空ブラシを使って塗りました。

 

 

背景について(空)

 

 

①グラデーションをつけながらベースを塗りました。
・通常レイヤー
・エアブラシ


②水彩ツールで影を追加しました。
・乗算レイヤー
・粗い水彩

 

 

③さらに色を足しました。
・通常レイヤー
・エアブラシと粗い水彩


③光を追加しました。
・覆い焼き(発光)レイヤー
・星空ブラシ

 

背景について(月)

 

 

①月の輪郭を作りました。
1.加算発光レイヤーを作り、図形ツールで丸を描き塗りつぶしました。
2.1のレイヤーをコピーして通常レイヤーにし、ガウスぼかしでぼかしました。
3.2.のレイヤーを1.のレイヤーの下に移動させました。

②乗算レイヤーを作り、月の画像素材を貼り付けました。

 

 

③影を追加しました。
・乗算レイヤー
・粗い水彩


④光を追加しました。
・覆い焼き(発光)レイヤー
・星空ブラシ

 

 

仕上げ

 

 

全体の影を追加しました。背景と人物でそれぞれレイヤーを分け、影の明度に差をつけています。人物に視線が行くように、アトレーユの影の明度を上げています。


・乗算レイヤー
・丸ペンとエアブラシ
 

 

アトレーユに光を追加しました。
・覆い焼き(発光)レイヤーとオーバーレイレイヤー
・星空ブラシ

 

 

①ホローク城の目とアトレーユの輪郭に光を追加しました。
・覆い焼き(発光)レイヤーと加算(発光)レイヤー
・光ブラシとエアブラシ

②アトレーユに影を追加しました。
・乗算レイヤー
・透明水彩

 

③霧を追加しました。
・乗算レイヤー
・雲ブラシ

 

 

④光のエフェクトを追加しました。
・加算(発光)レイヤー
・光ブラシとプリズムブラシ

 

⑤細かい光のエフェクトを追加しました。
・加算(発光)レイヤー
・光ブラシとデコレーションツールのきらめきブラシ

 

⑥アトレーユとホローク城、それぞれ線画の色を調整しました。(色トレス)

 

 

添削

 

ほぼほぼ完成したイラストを、イラスト教室で添削していただきました。

 

 

上(左)が添削前→下(右)が添削後です。


①ホローク城の目の光を調整。明度を下げて、アトレーユに視線がいくようにしました。
②背景の明度を上げて少しだけ明るくしました。
③アトレーユの線画の色を修正しました。(色トレス)光が当たっている箇所を強調しました。
④アトレーユの影を追加し、よりアトレーユに視線がいくようにしました。

 

 

視線を誘導するには、光と影のコントラスト差、描きこみ量、彩度を調整することが段々わかってきました。毎回、わかりやすく教えて下さる先生には本当に感謝しています。

 

 

迷走した箇所

 

今回もいつも通り完成するまでは色々と迷走しました。

 

 

上(左)は仕上げに入る前のイラストですが、ホローク城の目の光の表現方法に悩みました。アトレーユを見ている描写にしたかったのですが、放射線状の光にすると違和感があり、色々試した結果、下(右)のイラストのような描写となりました。また、今回も背景を含めた全体の色味は微調整を繰り返しました。

 

 

特に、手前の光エフェクトを入れる前はイラスト全体の見栄えが全くしない状態(上のイラストの状態)だったので、『本当にこの絵は完成するのだろうか…』と悩みに悩みました。空気の塵を大きくしたり、色々なブラシで試行錯誤を繰り返した結果、光エフェクトに辿り着きました。

 

 

1年前のイラストとの比較

 

 

今回のシーンもおよそ1年前に描きました。1年前はホローク城を全く描けない状態だったのが、今回はホローク城を描けるようになりました。また、線画を含めたキャラクターの描写も大きく成長したと感じました。特に、視線を誘導する細かいテクニックや、光と影の表現方法が1番成長したと思います。

 

 

感想

 

Twitterにイラストを投稿するようになってからは、少しずつ反応が気になるようになってしまい、自分が描きたいイラストとたくさん反応が貰えそうなイラストとのギャップを感じることに気が付きました。

 

 

特に上の2つのイラストは、『星空』と『優しい雰囲気』という万人受けしそうなテーマで描いてしまいました。結果的に私も楽しく描けたから良かったのですが、この後に描いた『憂いの沼』や今回のホローク城のイラストを描く前には妙な葛藤がありました。

 

 

『憂いの沼』上(左)も『ホローク城』下(右)も、悲しい場面と奇妙なお城の場面なので、正直万人受けはしないと思いました。本当はこういうシーンでも琴線に触れるような描写や画力があれば良いのですが、今の私はまだそのレベルに達していません。そのため、この2つのイラストを描く前は『もっと見る人に受け入れられるイラストにした方が良いのかな…』と描くことを躊躇しました。

 

 

しかし、ためらいながらも少しずつイラストを描いているうちに『私は自分が見たい場面を描くために絵を描き始めたのだった』という当初の目的を思い出しました。特に、今回のホローク城のイラストを描き進めていく中でその想いはより強くなりました。

 

 

せっかく私のイラストを見て下さる人が増えてきたのに大変申し訳ない話なのですが、私は多くの人に求められるようなイラストを描き続けることはできないと痛感しました。私がイラストを勉強しているのに、プロのイラストレーターになりたいと全く思わない理由もそこにあります。

 

 

自己満足でイラストを描いている以上は『たくさん反応があると良いな』という考えは捨てて、『自分が一生懸命描いたイラストを見てくれる人が1人でもいれば良いな』と考えるようにしたいと思います。そして、こんな自己満足なイラストにもかかわらず反応をいただけた場合には、最大限の感謝の気持ちを忘れないようにしたいです。

 

 

今回描いたホローク城は、気味が悪いお城のイラストではありますが、大好きなアトレーユが活躍するシーンなので私は大好きです。『はてしない物語』の後半には、悲しい場面や苦しい場面がたくさん登場しますが、そういう場面も含めてこの物語とアトレーユが大好きなので『この場面を見てみたい』という気持ちを大事にしたいと思いました。

 

 

ブログ引越しが完了しました

 

こちらの記事でようやくブログの引越しが完了しました。これからはまたのんびり記事を書いていきたいと思います。